『盤上のオリオン』はこんな人に刺さる!購入前ガイド

将棋漫画に新たな風が吹いている――そんな予感を抱かせてくれたのが、新川直司の『盤上のオリオン』でした。

『四月は君の嘘』で音楽と心を描いた新川先生の最新作。
挫折を知った少年少女が、もう一度「盤上で生きる意味」を見つけ出していく、熱い青春ドラマです。

本記事では、『盤上のオリオン』の魅力を感想とともに振り返りつつ、同じように心を揺さぶるおすすめ作品も紹介していきます。

この記事は下記のような方にオススメです。

▪️『盤上のオリオン』がどんなお話か知りたい方。
▪️『盤上のオリオン』の購入を検討している方。
▪️『盤上のオリオン』が好きで次に読む作品を探してる方。

あらすじ概要

<作品情報>
『四月は君の嘘』新川直司、最新作! 「対局料はギムレット一杯よ」 将棋の神童・二宮夕飛は、かつての輝きを失い連敗を重ねていた。そんな時、バーで将棋を指す少女・茅森月と出会う。横暴、ワガママ、破天荒な月だったが、その将棋は鋭く自由、「神様に選ばれた将棋」そのものだった――。才能ひしめく将棋界を舞台に、少年少女の心揺さぶる物語が幕を開ける! バーから始まる、将棋×青春×ラブストーリー!!

引用元:盤上のオリオン|【第1話】|マガポケ|少年マガジン公式無料アプリ

上記の通り、『盤上のオリオン』は、将棋にすべてを捧げてきた少年・二宮夕飛が、挫折の中で出会った少女との対局をきっかけに、もう一度将棋の世界へと戻っていく物語です。

かつて神童と呼ばれながらも連敗を重ね、心が折れかけていた夕飛は、偶然入ったバーで、ギムレット一杯を対局料に将棋を指す女子高生・茅森月に敗北し、完全に将棋を手放してしまう。

しかし、高校で再会した月との関わりや、バーでの日々を通じて、将棋の楽しさを少しずつ思い出し、再び名人を目指す決意を固めていく。
鋭く自由な将棋を指す月、ライバルたちとの出会いと対局が、勝つことだけではない将棋の奥深さと、青春のまぶしさを鮮やかに描かれている作品となっています。

『盤上のオリオン』は完結している?

結論から言うと、『盤上のオリオン』は現在も週刊少年マガジンで連載中です。

本作は新川直司先生による将棋×青春×心理戦ストーリーで、2024年1月10日発売の週刊少年マガジン6号から連載がスタート。

単行本は現在6巻まで発売済み。最新6巻は2025年6月17日に発売されており、約5か月ごとの刊行ペースが続いています。

巻数発売日前巻との差
1巻2024年4月17日
2巻2024年6月17日約2ヶ月
3巻2024年9月17日約3ヶ月
4巻2024年12月17日約3ヶ月
5巻2025年3月17日約3ヶ月
6巻2025年6月17日約3ヶ月
7巻2025年9月17日
(予定)
約3ヶ月
(予定)

連載は継続中であり、今後も物語が続く予定です。

『盤上のオリオン』を購入して後悔しない人の特徴

将棋を通して、ヒューマンドラマを楽しみたい方は『盤上のオリオン』を購入して後悔しないです。
安心して購入して下さい!

『盤上のオリオン』で登場するキャラクターたちはそれぞれ色々な思いで将棋と向き合っています。
その思いを回想シーンという形で知ることができ、キャラクターたちの生き様に惹かれていきます。

因みに、僕が一番好きなキャラクターは「久慈彼方」です。感想でも少し触れていますが、2巻のセリフが好きすぎて一瞬で虜になりました!

『盤上のオリオン』という作品では、脇枠に位置するキャラクターたちも、メインキャラクターたちにも負けない熱い思いがあって、新キャラが出る度にワクワクさせられます。

ただ勝負の勝ち負けよりも、ヒューマンドラマ要素を優先させているため、スポコン要素を期待して購入した方には少し物足りないかもしれないです。

読んだ感想:将棋の「楽しさ」を思い出す物語に胸が熱くなった

『盤上のオリオン』は連載開始時からずっと好きで、いつかレビュー記事を書きたいなと思っていました。

今回たまたま「Kindle Unlimited」で一巻が無料で読むことができたので、久しぶりに読みました。

やっぱり、最初から面白いなと感じました。

『盤上のオリオン』は、将棋を題材とした漫画で少年少女がプロの棋士になるため、ライバルたちと日々、切磋琢磨しているヒューマンドラマとなっており、ダブル主人公となっています。

まず一人目の主人公・二宮夕飛は、祖父に名人になった姿を見せるべく幼い頃から将棋に全てを捧げていた少年です。

しかし、その夢半ばに祖父が亡くなってしまい、そこから調子を崩して連敗し続けてしまいます。
その連敗中に先輩が気分転換としてバーに連れていってもらい、夕飛の人生が大きく変わります。

そこのバーでは、バーテンダーの茅森月(二人目の主人公)がギムレット1杯で将棋を指すサービスをしており、夕飛も月と将棋を指すのですが、彼女にも負けてしまい完全に心が折れてしまいます。

Screenshot
引用元:盤上のオリオン 1巻より

将棋を辞めた夕飛ですが、高校入学時に月と再会しバーで働くことになります。

そこのバーを通して、将棋の楽しさを思い出し、また名人を目指します。
僕は夕飛が「将棋の楽しさを思い出す」この流れが大好きで、この一連の流れでこの作品の虜になりました。

続いて、二人目の主人公・茅森月は、実家のバーを手伝っている女子高校生で、夕飛の高校の副会長です。
学校では、優等生キャラとして絶大な人気を誇っていますが、実際の性格はサタンです
めちゃくちゃ自分勝手で性格が悪いです笑

Screenshot
引用元:盤上のオリオン 1巻より

そんな彼女ですが、将棋の才能は本物で夕飛から「手付かずの原石」と評されるほどの逸材で夕飛から「プロ棋士になりませんか?」と誘われるほどです。

最初は乗り気ではなかった月ですが、同世代の天才棋士・久慈彼方に敗北したことをきっかけにプロ棋士を目指します。

この「月VS彼方」の対局が一番好きで、試合中の彼方の回想シーンで夕飛と切磋琢磨してきた日々を思い出しながらの彼方の一言「あなたが今対峙しているのは二宮夕飛が作り上げた棋士です」を読んで、この漫画、名作確定じゃんってなりました笑

このシーンまで、夕飛と彼方の関係性がほとんどわかっていなかったので、めちゃくちゃ衝撃だったのと、天才棋士である彼方が夕飛なしではここまで来れなかったと、はっきり明言するという夕飛上げが半端ないシーンでした!
控えめに言って最高でした。

夕飛や月、彼方以外にも多くの棋士たちが登場し、それぞれ色々なものを背負って将棋と向き合っています。
対局を通して、そのキャラたちの生き様を見ることができ、対局終了まで目が離せない作品となっています。

将棋好きから、ヒューマンドラマ好きの方まで幅広い層に刺さる作品でした。

『盤上のオリオン』が好きな人にオススメの作品

『盤上のオリオン』が好きな方には、以下の作品もオススメです。

①伍と碁

『盤上のオリオン』で盤上に青春を懸ける物語に心を掴まれた人にこそ読んでほしいのが『伍と碁』です。

囲碁を題材とした作品で、かつて神童と呼ばれた少年・秋山恒星が、自らの敗北と喪失を乗り越え、再び才能を証明しようとする物語。
彼が挑むのは、かつて自分の心を折った5人の天才たち――全員が、自分と同じかそれ以上の才能を持つライバルたちです。

将棋の世界で再起を誓った夕飛のように、『伍と碁』の恒星もまた、挫折した過去と向き合い、盤上でもう一度勝つことに執着します。
自信を失った者が、再び誇りを取り戻すために挑む戦いとなっています。

そして、その先にあるのは「自分は本当に天才だったのか?」という問いに対する答えです。

ただ勝つだけでなく、自分が天才だったと証明して勝たなければならない。
その静かで熱い闘志は、『盤上のオリオン』の読者の胸にも必ず響くはずです。

『伍と碁』について、詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

②3月のライオン

『盤上のオリオン』の中で描かれる、将棋と向き合う苦しさと温かさに心を動かされた人には、ぜひ『3月のライオン』を読んでほしいです。

将棋を題材にした本作は、若くしてプロ棋士となった桐山零が、過去の喪失や孤独を抱えながらも、少しずつ他者との絆を築き、自分自身と向き合っていく成長の物語です。
零が戦うのは、ただの勝負だけではありません。家族との断絶、社会との摩擦、そして「自分は何者なのか?」という根源的な問いと向き合う姿が、静かでありながら胸に刺さります。

『盤上のオリオン』の夕飛が、将棋の楽しさを思い出し、再び名人を目指して動き出したように、零もまた、人との関わりの中で少しずつ前を向き、将棋を生きる意味として取り戻していきます。

将棋という舞台の上で描かれるのは、駒を動かす手の裏にある、感情、記憶、願い。
誰かに勝つためではなく、自分という存在を肯定するために指す将棋。
その積み重ねのドラマは、物語としての深みと温もりを同時に持っています。

派手な勝負や激しい才能のぶつかり合いだけでなく、将棋を通じて人が救われるという優しさに惹かれた方には、『3月のライオン』はきっと心に残る作品になるはずです。

まとめ:才能と再起を描く、新たな将棋青春漫画の傑作

『盤上のオリオン』は、将棋という競技を通して、「才能とは何か」「敗北をどう乗り越えるか」といった普遍的なテーマに真正面から挑んだ作品です。

勝ち続けるだけが強さではない。

一度折れた心であっても、もう一度盤上に立ち向かうことにこそ、本当の強さがある――そんなメッセージが静かに、しかし力強く響きます。
青春漫画や将棋作品に馴染みがない人にも、自信を持って薦められる一作でした。

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