こんにちは。アシカです!
今回は私が大好きな漫画『ブルーロック』に登場する凪誠士郎の話が一旦落ち着いたので、この機会に今までの活躍を振り返りながら考察していきたいと思います。
最後までお付き合いいただければ、幸いです。
この記事は下記のような方にオススメです。
- 凪がどんなキャラクター知りたい方。
- 凪の現在を知りたい方。
- 凪の活躍シーンを振り返りながら、考察を楽しみたい方。
凪はどんなキャラクター?
引用元:第08話|STORY|TVアニメ『ブルーロック』公式サイト
ブルーロックにおいて圧倒的な天才として描かれる凪誠士郎。
白宝高校2年生の彼は、同級生・御影玲王に才能を見出されサッカーを始めました。
そして、サッカー歴わずか半年にして無敗を誇り、その才能が認められ「ブルーロック」へと招待されるまでに至ります。
凪の最大の武器は「トラップ」。
どんなボールも一瞬で止め、自分のものにしてしまうその技術は、観る者を驚愕させ、試合の展開を一変させる破壊力を秘めています。
一方で凪の性格は、基本的に無気力で面倒くさがり。
玲王に誘われなければサッカーを始めることもなかったほど、向上心や野心を自ら示すことはほとんどありません。
しかし、そんな性格だからこそ、天才的なプレーと無頓着さとのギャップが際立ち、彼独自の魅力となっています。
原作者・金城宗幸先生も「僕がかっこいいと思う人間の全てを詰め込んだキャラクター」と語るように、凪誠士郎はただの天才ではなく、「人間としての面白さ」を併せ持った存在です。
今後の物語で凪誠士郎がどのように成長し、仲間やライバルとどんな関係を築きながら進化していくのか――その行方から目が離せません。
凪と玲王の関係性
凪誠士郎にとって、御影玲王との出会いはサッカー人生そのものの始まりでした。
玲王は凪の才能を最初に見抜き、サッカーの世界へと導いた人物であり、まさに原点ともいえる存在です。
玲王の熱意に押される形で競技を始めた凪でしたが、その無限の才能はすぐに花開き、二人は互いに欠かせないパートナーとして急速に成長していきました。
しかし「ブルーロック」に参加してからは、凪と玲王の関係性に揺らぎが生まれます。
天才ゆえに急速に自立し始める凪と、常に隣に立ち続けたい玲王――二人の間には、友情・依存・競争心が入り混じる複雑な感情が描かれています。
凪と玲王の関係は、単なるチームメイトや親友という枠を超え、物語に大きな影響を与える重要な要素です。
今後、この二人がどのような道を歩むのか、ファンの間でも注目を集めています。
二人の関係性について、詳しく知りたい方は凪が主人公のスピンオフ作品『ブルーロック-EPISODE 凪-』(全8巻完結済)がオススメです。
凪と玲王の出会いからU-20日本代表戦のメンバー選考前(原作11巻)までの内容となっています。
凪と玲王視点が物語が進行していくため、二人があの時どんなことを想っていたかわかり、凪と玲王推しの方にはピッタリな作品です!
無気力な天才・凪のいま
サッカー歴わずか半年でブルーロックに招待された圧倒的な天才・凪誠士郎。
しかし現在、彼はブルーロックから脱落するという大きな転機を迎えています。
どうして、誰もが「天才」と認める凪がそのような状況に至ったのか――。
その背景を振り返りながら、彼の性格やプレースタイル、そして仲間との関係性がどのように影響したのかを考察していきます。
天才であるがゆえに直面した壁、そして無気力という性格が成長の足かせにもなり得たのか。
それとも、これこそが凪が次のステージへ進むための必然だったのか。
ブルーロック脱落後の凪を語る上で、その意味を探ることは欠かせません。
今までの振り返り
サッカーとの出会いからブルーロック参加まで
凪誠士郎のサッカー人生は、同級生・御影玲王との出会いから始まります。玲王に声をかけられた当初、凪のやる気はゼロ。
彼は「めんどくさいことが大嫌い」で、普段はスマホゲームと食事だけで一日を終える、まるで「理解不能な生き物」のような生活を送っていました。
友達も一人もおらず、会話相手はサボテンに付けた名前「チョキ」だけ――そんな凪がサッカーに興味を持つはずもありません。
しかし、玲王の熱意に押され、しぶしぶサッカーを始めることになります。
そして迎えた初試合の相手は強豪・青森駄々田高校。
ここで凪は、誰もが度肝を抜かれる蠍足トラップを披露し、圧倒的な才能の差を見せつけます。
引用元:ブルーロック-EPISODE凪- 1巻より Screenshot
このワンプレーこそ、天才・凪誠士郎の名を刻むきっかけとなった瞬間でした。
玲王のオールラウンダーとしての実力と凪の常識外れのテクニックを目の当たりにした日本サッカー連合のアンリは、二人を「ブルーロック」へと招待します。
また、凪の前日譚を描いた小説では、まだサッカーを始める前の姿が描かれています。
勉強も運動も興味がなく、ゲームと食事だけで生きている彼の生活は、周囲から見れば天才以前に理解不能な存在でした。
この時期からすでに、凪の独特な感性や人とのズレが強調されており、その後サッカーで発揮される「異次元の才能」の土台となっているのがわかります。
無気力な日常から一転、サッカー界の頂点を狙うブルーロックへ――。こうして凪の物語は幕を開けたのです。
ブルーロック参加当初
ブルーロックの説明会で、絵心甚八が繰り広げた熱い演説に心を震わせた者は多く、潔世一もその一人でした。
「ここなら世界一のストライカーになれる」と直感し、誰よりも早く参加表明した潔に対し、凪は全く異なる反応を見せます。
「W杯の決勝ゴールなんて簡単に思い描けたし」と、まるで関心がないかのように呟き、最後に参加表明した凪。
引用元:ブルーロック-EPISODE凪- 1巻より Screenshot
その姿は、必死に夢を追い求める潔と、夢さえも無気力に扱う凪という、対照的な構図を際立たせていました。
玲王に付き合う形で参加を決めたにすぎず、この時点で凪自身に「世界一」への意志はほとんど見られませんでした。
それでもブルーロックに入った凪は、やる気ゼロながら圧倒的な才能で次々と試合に勝っていきます。
そんな彼に初めて変化が生じたのが、チームX・馬狼照英との試合でした。
チームとしては勝利を収めたものの、凪は馬狼の「ストライカーとしての生き様」に心を揺さぶられ、無意識のうちに熱を帯びたプレーを見せます。
試合後、馬狼からは「とんだエゴイストじゃねえか」と評される凪。
本人には自覚がなかったものの、馬狼の視点では凪が自分こそがNo.1(世界の中心)だと示すようなゴールを決めており、その行動自体が「エゴ」の発露に他ならなかったのです。
こうして少しずつ変化を見せ始めた凪。そして次に迎えるチームZ戦こそが、彼の運命を大きく変える出会いとなります。
チームZ戦|運命の出会い
凪誠士郎と潔世一の最初の出会いは、試合のピッチではなく食堂でした。
そのとき、潔は凪に対して「サッカーなめんな」と真っ向から宣戦布告。
無気力に生きてきた凪にとって、それは初めて真正面から挑んでくる存在との遭遇でした。
しかし、いざ始まったチームZ戦の序盤は、凪にとって退屈なものでした。
いつも通りの展開に飽き始めていたそのとき、蜂楽廻のスーパープレーをきっかけに、チームZのメンバーが次々と熱を帯び、諦めずに食らいついてきます。
その姿を目にした凪は「熱くなっていくストライカーたち」に興味を抱き、自発的に動き始めるのです。
そこには、これまで「めんどくさい」としか思っていなかったサッカーの面白さを見出しつつある凪の姿がありました。
そして試合のラスト、潔と凪の運命的なマッチアップが訪れます。
そこで潔は、これまで無意識のうちに行っていた「直撃蹴弾」を自覚して放つことに成功。凪の前で決勝ゴールを叩き込みました。
その瞬間を目撃した凪は、無意識に心を震わせます。
引用元:ブルーロック-EPISODE凪- 3巻より Screenshot
「人が生まれ変わる瞬間」を目の当たりにし、自らのエゴが初めて叫び出したのです。「もっと知りたい」「もっと戦いたい」「勝ちたい」――潔という存在が、凪の中に眠っていたストライカーとしての本能を呼び覚ましたのでした。
この出会いをきっかけに、凪のサッカー人生は大きく加速していきます。次なる舞台、二次選考・奪敵決戦では、凪はさらなる試練と覚醒を迎えることになるのです。
二次選考・奪敵決戦|潔との共闘と凪の覚醒
チームZ戦での敗北を経て、凪の心に初めてエゴが芽生え始めていました。
これまで玲王に導かれるままにサッカーをしていた凪でしたが、「もっと知りたい」「勝ちたい」という本能的な欲求に突き動かされ、ついに自分の意思で選択をします。
――それは玲王ではなく、潔と組むという決断でした。潔を通して、凪は初めて「熱」というものを知り、その熱に自ら飛び込むようになっていきます。
ブルーロックの物語では、潔と凪は対比として描かれてきました。
必死に夢を追う潔と、夢に無関心なまま天才的才能を発揮する凪。
しかし、二次選考・奪敵決戦では、二人に「共通点」が生まれます。
それは――お互いに相棒を不在とし、一人で勝ち抜かなくてはならない状況に立たされたことです。
異なる成長の道を歩みながらも、自立した強さを求めるという点では重なっていました。
特に印象的なのは、TOP3との再戦でのシーンです。
潔と凛が高次元の駆け引きを繰り広げ、試合が二人を中心に展開していくかに見えた瞬間、凪がその間に割って入り放った「二段式空砲直蹴撃」。
引用元:ブルーロック-EPISODE凪- 4巻より Screenshot
予測不可能なゴールは、まるで凪自身が自らの存在を世界へ刻みつけたかのような一撃でした。
この時の凪は、サッカーを知らなかった自分には戻れないほどの快感を味わい、その中毒性に取り憑かれ始めていたのです。
そして物語は、潔が凛に引き抜かれることでさらに大きな転換点を迎えていきます。
二次選考での孤独な戦い|潔を超えるために
潔世一が糸師凛に選ばれた瞬間、凪誠士郎ははっきりと理解しました。――熱の中心は潔だったのだと。
その悔しさを胸に、凪は「今度こそ潔を倒し、熱(=世界)の中心が自分であることを証明する」と強く決意します。
以降の凪の物語は『ブルーロック』本編には描かれておらず、『ブルーロック-EPISODE凪-』(第4巻〜第8巻)でのみ明らかになる特別なエピソードとなっています。
潔と別れた凪は、馬狼と千切と共に次の試合へ挑みます。
対戦相手は柊、二子、斬鉄のトリオ。
相手は凪たちの弱点を的確に突く戦術を展開し、馬狼と千切はそれぞれ試合中に自らの課題を克服していきます。
しかし凪だけは、圧倒的な才能をゴリ押しして突破する形で切り抜け、自分の弱点を解決することを先延ばしにしてしまいました。
この天才ゆえの甘えが、凪の成長における大きな課題として残ります。
試合には勝利し、斬鉄を仲間に加えた凪たちは、次なる強敵――鳥、己夜、清羅、日不見のチームと激突します。
特に鳥と己夜はブルーロックNo.1タッグと呼ばれるほど自立した強者同士の掛け合わせであり、凪にとってはかつて玲王と理想としていた関係性を体現した存在でした。
そんな強敵に対して、凪たちは一時的に自分たちのエゴを抑え、協力し合うことで互角の勝負に持ち込みます。
しかし凪はその最中に気づきます。――「こんな合理的な戦い方では、熱くなれない」と。
理屈で勝てないのなら、自分たちは夢で勝てばいい。
引用元:ブルーロック-EPISODE凪- 5巻より Screenshot
そう言い放ち、凪は己の中に燃え続ける「潔を倒す」という夢を原動力に、試合を支配していきます。
特に印象的なのは、凪と馬狼の一番の夢が潔を超えることであり、彼らは対戦相手ではなく、自らのイメージの中にいる潔と戦っていたことです。
そして、凪がゴールを決めた瞬間、間違いなく凪は熱の中心に立っていました。
こうして凪は「サッカーを知らなかった自分には戻れない」という快感をさらに深め、潔と再び交わる瞬間を求めて突き進んでいきます。
U-20日本代表戦|玲王への想いと胸熱の初ゴール
二次選考、三次選考を経て凪誠士郎はブルーロック内ランキングで第6位に位置するまでに成長していました。
その才能は誰もが認めるものの、かつての相棒である御影玲王との関係は依然としてぎこちなく、完全な和解には至っていませんでした。
そんな中で迎えたのが、日本サッカーの命運をかけたU-20日本代表戦。ブルーロックイレブンのレギュラーを決める適正試験を勝ち抜き、凪もレギュラーの座を掴み取ります。
試合前、凪は玲王からあるものを受け取っていました。それが、彼が試合で着用していた手袋です。この事実は劇場版『ブルーロック -EPISODE 凪-』で明かされ、二人の複雑な関係に新たな意味を加えています。
そして試合本番、凪はブルーロック側の初得点を決めます。その一撃は日本に対する堂々たる自己紹介であると同時に、玲王へ向けた無言のメッセージでもありました。
引用元:ブルーロック 117話より Screenshot
かつては玲王に誘われて渋々始めたサッカー。その凪が今、世界に才能を知らしめる舞台で、玲王との絆を秘めたゴールを叩き込んだのです。
この瞬間はファンの間でも胸熱シーンとして語り継がれるものとなりました。
U-20日本代表を打ち破り、ブルーロックの存在は世間に強烈なインパクトを残します。
凪にとってもサッカー人生の大きな飛躍の瞬間となりましたが、この勝利を境に物語は新たな局面へ――欧州5大リーグ編が始まります。
欧州5大リーグ編|迷走する天才と潔への再戦
欧州5大リーグ編で凪が選んだチームはイングランド。
そこで彼を待っていたのは、指導者クリス・プリンスでした。
クリスから「理想のサッカーとは何か」と問われるも、凪は答えることができません。
今まで才能だけでプレーしてきた凪にとって、自分の理想やビジョンを語ることは不可能だったのです。
さらにクリスからは「お前には創造力が0だ」「パサー(パートナー)がいないと無価値だ」と痛烈に指摘されます。
そして「0から創り直すために、トラップから始めろ」と助言を受け、凪は自らを再構築しようと試みます。
しかし、その新たな挑戦を実戦で試したドイツ戦。
結果は散々でした。
思うようにプレーは噛み合わず、潔や玲王らが次々と進化していく中で、凪だけが取り残されていく感覚に苛まれます。
かつて感じたサッカーの面白さも見失い、ただの迷路の中に迷い込んだような状態でした。
そんな中、凪は玲王に声をかけます。
「潔を倒したいから、協力してほしい」と。
かつては一方的に導かれる立場だった凪が、今度は自分から玲王に助けを求めた瞬間でした。
二人は久々に共闘し、かつての連携を取り戻しながら潔に挑みます。
そして迎えた決定的瞬間――凪は「五連式回天空砲蹴撃」を繰り出し、潔を打ち破ります。そのゴールは凪自身が再び熱の中心に立った証であり、彼の才能が爆発した瞬間でした。
引用元:ブルーロック 22巻より Screenshot
しかし、このゴールはただの成功では終わりませんでした。凪が放った一撃は、彼自身の運命を大きく変えていく序章でもあったのです。
目標喪失と迷走の果てに|凪のブルーロック脱落
潔に勝利し、その才能が世界にも認められた凪誠士郎。
かつての「倒したい」という熱を抱いて挑んだ潔との対決で頂点を味わったものの、その瞬間こそが転機でした。
最大の目標を果たしてしまった凪は、新たな指針を見失い、再び無気力さに沈んでいきます。
その現実から目を背けるように、凪は再び玲王と共にプレーを続けます。
しかし、かつてのような噛み合いは全くなく、凪自身の評価は次第に低下。馬狼からも「全然面倒くさくねーぞ?」「いっぺん死んでこい腑抜け」と痛烈な叱責を浴び、流石にこのままでは終わると危機感を抱きます。
引用元:ブルーロック 28巻より Screenshot
最終戦に向けて「もう一度変わろう」と決意した凪は、玲王と一緒では限界があると悟り、一人で戦う覚悟を固めます。
覚醒の兆しを見せるかに思われましたが、そのプレーは依然として才能のゴリ押しに過ぎず、進化を重ねるブルーロックの仲間たちには通用しません。
試合終盤、勝負を決めるはずのゴール前で、凪は恐怖に飲まれ、自らの意思でシュートを打つことができませんでした。結果的に玲王へパスを選択してしまい、そのボールは相手に奪われ、チームは敗北。
凪の決定的なミスによって、試合は終わりを迎えます。
こうして、圧倒的な才能を誇った天才・凪誠士郎は、ブルーロックから脱落するという衝撃の結末を迎えることとなりました。
再び燃え始めた炎|脱落後の凪の現在
ブルーロック脱落後、凪誠士郎は元の退屈な日常に戻っていました。
しかし、その胸中はこれまでとは違います。「ブルーロックに戻りたい。けれど戻れない」――人生で初めての挫折を味わい、心の奥底に虚しさを抱えていました。
そんな凪の前に現れたのが、不乱蔦会長でした。彼は凪に対して「日本代表にしてやる。その代わりブルーロックを潰す手伝いをしろ」と持ちかけます。
しかしそれは、サッカー人生を不乱蔦会長に一任する“奴隷契約”付きという危険な取引。凪は「ブルーロックを裏切れない」と一度は拒絶しました。
その数日後、意外な人物――イガグリとの再会が凪の心を揺さぶります。凡人であるイガグリの言葉により、凪の中で再び熱が灯り始めたのです。
そして迎えたU-20W杯開幕戦当日。凪は再び不乱蔦会長の前に姿を現し、「なりたいんだけど、世界一」と宣言。
引用元:ブルーロック 35巻より Screenshot
その瞬間、彼は会長との“奴隷契約”を受け入れました。ここでの凪の心情を要約すれば――「世界の中心だとわかる神様みたいな快感(スーパープレイ)だけが欲しい」。
彼は初めて、自分のエゴと真正面から向き合い始めたのです。興味深いのは、ここにも潔との対比がある点です。
潔は「味方にパスして敗北」した瞬間からブルーロックでの物語が始まりました。
一方で凪は「味方にパスして脱落」したことをきっかけに、新たなサッカー人生を歩み始めています。
二人の軌跡は依然として鏡写しのように描かれており、だからこそ凪がこれからどのように世界一のストライカーへ近づいていくのか、ますます目が離せない展開となっています。
凪の脱落原因|天才が堕ちた三つの理由
ブルーロックの中でも屈指の天才として描かれてきた凪誠士郎。
潔に勝利し、世界中からその才能を認められた彼が、なぜブルーロックから脱落するという衝撃の結末を迎えたのか。
その背景には、単なるスランプや努力不足では片づけられない複数の要因が絡み合っていました。
それは、環境とのミスマッチ、関係性の停滞、そして運命の悪戯――。
ここでは、凪が脱落に至った「三つの原因」を紐解いていきます。
脱落の原因① |チーム選びの失敗― 才能を鈍らせた最悪の相性
凪誠士郎がブルーロックから脱落するに至った原因のひとつが、チーム――つまり国の選択ミスにあります。
彼が選んだのは、欧州5大リーグのひとつ「イングランド」、チーム・マンシャインC。
そしてその指導者(マスター)は、理想主義の象徴とも言えるクリス・プリンスでした。
クリスの指導方針は明確で、「自分の理想像を定め、それに向かって肉体を鍛え上げる」というもの。
理想を具体化し、それを実現するために努力を重ねる選手には、まさにうってつけの環境です。
しかし、凪には理想という概念が存在しません。彼がサッカーをする理由は、あくまで「神様みたいな快感(スーパープレイ)」を得るため。つまり、目的ではなく瞬間の熱を追うタイプの選手なのです。
この根本的な価値観のズレは、やがて凪の進化を止める致命的な壁となりました。
初期のクリスは、凪に寄り添いながら「理想の姿を一緒に考えよう」とする柔軟さを見せていましたが、ドイツ戦を境にその姿勢は消え去ります。
結果として、凪にとってクリスは外れのマスターとなってしまったのです。
作中でもブルーロックの理念として、「才能は環境によって開花もすれば、潰れることもある」と語られています。
凪の場合、その天才的な感性を活かすどころか、理想を押し付ける環境に身を置いてしまったことが、彼の才能を鈍らせた最大の原因だったのかもしれません。
脱落の原因②| 玲王との共存が生んだ“満足”と停滞
もうひとつの大きな脱落要因は、凪誠士郎が玲王との現状に満足してしまったことです。
ドイツ戦で、凪と玲王の共闘によって潔に勝利したシーンは、多くの読者の心に焼き付きました。
凪が放った「五連式回天空砲蹴撃」は、周囲からは「再現性のないクソシュート」と評されましたが、むしろそれこそが凪の本質――再現性のないプレイを生み出し続ける超天才というスタイルだったのです。あの瞬間のプレイこそ、凪にとっては正解のサッカーだと私は感じています。
しかし、凪はその成功体験と玲王との再会に満足してしまいます。
彼にとって玲王は、初めて自分を見つけ、導いてくれた存在。
その「一緒にいるだけで満たされる」安心感こそが、凪の成長を止めてしまいました。
どんな状況でも玲王と共にいれば大丈夫――そんな“ぬるま湯の関係”が、いつしか彼の中から“熱”を奪っていったのです。
本来、凪と玲王にとって理想的な関係は、「凪のやりたいことに玲王が合わせる形」。
つまり、凪がエゴを燃やして前に進み、玲王がその熱を支える関係性です。
しかしこの時の凪は、目標を見失い、自分から動くことをやめてしまっていました。
結果として、二人のバランスは崩れ、凪の成長は完全に止まってしまったのです。
玲王という存在は、凪にサッカーを与えた恩人であり、同時に熱を奪うほどの安息でもあった――その矛盾こそが、凪脱落の最大の原因だったのかもしれません。
脱落の原因③ |不運な試合順 ― タイミングが奪った生存の可能性
凪誠士郎の脱落には、本人の心境や環境だけでなく、試合順という運の悪さも大きく影響していました。
欧州5大リーグ編では、「選手の落札価格」の上位が日本代表として選ばれるシステムになっており、いくら途中で高評価を得ても、最終的な試合での評価が落ちれば脱落してしまうという過酷なルールでした。
凪はこのシステムの中で、最悪ともいえる順番に当たってしまいます。
初戦のドイツ戦で、彼は自分の才能を限界以上に引き出す最高のプレイを披露しました。
五連式回天空砲蹴撃で潔を下し、一気に注目の的となり、その瞬間の落札価格は急上昇。しかし、その後の試合で思うような活躍ができず、評価は徐々に下降していきます。
もしこのドイツ戦が最終戦に組まれていたなら、凪は最後に最高のパフォーマンスを見せ、落札価格を一気に引き上げることができたはずです。
加えて、潔に勝つという明確な目標を持った状態でリーグ戦を戦い続けられたため、精神的にも安定し、より良い成長曲線を描けていた可能性があります。
つまり、凪の脱落は才能や努力の欠如ではなく、試合順という運命的な不運に左右された面が非常に大きかったのです。
もし順番が違っていれば――彼はまだ、ブルーロックの頂に立っていたかもしれません。
凪誠士郎の復活タイミングを考察|再登場はフランス戦になる?
ブルーロックを脱落した天才・凪誠士郎。
しかし、その物語がこのまま終わるとは到底思えません。
彼の復活のタイミングは、恐らくグループリーグ最終戦のフランス戦になると予想されます。
※グループリーグの最終戦がフランスとは確定していないです。ご注意ください。
リーグの組み合わせはナイジェリア、イングランド、フランスで、おそらく試合の順番もその順。
ここで鍵を握るのが、かつて凪と玲王のチームメイトだったアギの存在です。
欧州五大リーグ編で、彼は凪と玲王をずっと気にかけ続けた聖人のような人物で、イングランド戦で「お前はこのままでいいのか?」といった言葉を玲王に投げかけ、玲王が再び凪との関係を見つめ直すきっかけになるのではないかと考えられます。
その流れで、フランス戦で玲王が「俺は凪と一緒じゃないと世界一になれない」と確信し、二人が再び共闘して覚醒する展開が訪れる可能性が高いでしょう。
実際、34巻で玲王が「お前と世界一になれるなら、御影玲王は何にだって変われる」と語っているセリフも、この再会を示唆しているように思えます。
また、ブルーロック本編では決勝トーナメントからメンバーを追加すると明言されています。
追加メンバー起用するかは絵心次第ですが、現状の凪は彼にあまり良い印象を持たれておらず、普通に復帰しても干されて終わる可能性が高い。
つまり、凪が復活するためには絵心が「凪を使わざるを得ない」状況になる必要があるのです。
その最も自然な流れが、フランス戦でロキ率いるチームに圧倒され、ブルーロック勢がメンタル的にも崩壊寸前というシナリオです。
そんな絶体絶命のタイミングで、進化した凪がピッチに立つ――それが最も劇的であり、ブルーロックらしい展開だと思われます。
さらに、フランス代表の中心人物であるロキは、天才を超えた存在(超天才)として描かれています。
恐らく凪もロキ同様、超天才に分類されるキャラクターで、ロキに対抗できるのは凪しかいません。
『EPISODE凪』第8巻でロキが凪に「僕らは同類かもしれない」と語ったセリフは、ロキが凪の本質を理解していることを示しており、フランス戦でこの二人が再び相まみえるのは必然とも言えるでしょう。
また、『EPISODE凪』第8巻のラストシーンでは、凪がブルーロックの練習着から日本代表ユニフォームに着替え、一人でピッチに向かう描写があります。
引用元:ブルーロック-EPISODE凪- 8巻より Screenshot
このシーンは、不乱蔦会長の選考を経て代表入りした凪が、ブルーロックの危機を知り、そのまま単独で合流する瞬間を示唆していると考えられます。
「一人でピッチへ向かう」という演出も、まさに孤高の再出発を象徴しています。
イングランド戦で玲王の心が再び揺らぎ、フランス戦で凪が合流し、ロキという超天才と対峙する。
その瞬間こそ、凪誠士郎が再び熱の中心に立つ時だといえるでしょう。
敗北と喪失を経て、再び世界の舞台に立とうとする凪が、次にどんな「神様みたいな快感(スーパープレイ)」を見せてくれるのか。彼の再覚醒の瞬間を、ファンなら誰もが待ち望んでいるはずです。
まとめ|“天才”凪誠士郎が再び世界の中心に立つ日へ
凪誠士郎というキャラクターは、「才能」と「退屈」、そして「熱」と「エゴ」という相反する要素をすべて内包した存在です。
サッカーをただの遊びとして始めた天才が、仲間やライバルたちとの出会いを通して少しずつ「本気」になり、そして挫折を味わい、自分の限界と向き合おうとしています。
ブルーロック脱落という大きな壁を前にしても、凪の物語は終わっていません。
むしろ、ここからが本当の凪誠士郎の始まりだと言えるでしょう。
彼が再びピッチに立つとき、それは才能だけの天才ではなく、「自分の意思でサッカーを選ぶストライカー」としての第一歩になるはずです。
潔世一という対となる存在との関係性も、今後ますます物語を熱くしていくことでしょう。
二人のエゴがぶつかり合い、互いに刺激し合うことで、どんな未来が描かれるのか――。その瞬間を目撃できる日を、楽しみに待ちたいと思います。