青春ラブコメが好きな方にぜひ読んでほしいのが、あまさきみりと先生による『キミの忘れかたを教えて』(MF文庫J)です。
「余命半年」を宣告された主人公と、芸能人となった幼馴染との再会――。
天才ゆえの孤独と凡才ゆえの苦悩を描いた、大人の心に響く青春物語として発売前から話題を呼んでいます。
さらに、イラストは数々の人気作を手掛けてきたフライ先生が担当。繊細で美しいビジュアルが、物語の切なさや温かさをより一層引き立てています。
この記事では『キミの忘れかたを教えて』の魅力や感想、読後の余韻を楽しめるオススメ作品も紹介していきます。
購入を迷っている方や、青春ラブコメを探している方はぜひ参考にしてください。
ラノベの評価基準について
ラノベの評価については、下記のランクごとに分けています。

あくまで、私自身の読書体験をもとにした評価ですので、購入や読書の参考程度にしていただければ幸いです。
『キミの忘れかたを教えて』とは?
『キミの忘れかたを教えて』は、あまさきみりと先生による青春恋愛小説で、MF文庫Jから刊行されている話題作です。
物語は、大学を中退し、生きる価値を見失っていた松本修が「余命半年」という現実を抱えながら、かつての母校を訪れるところから始まります。
そこで再会したのは、芸能人となった幼馴染み・桐山鞘音。かつて因縁を抱えていた彼女との出会いが、修の止まっていた時間を再び動かし始めます。
天才ゆえに孤独を背負った鞘音と、凡才ゆえに苦悩し続ける修。
二人のすれ違いと再び交わる青春の軌跡が、本作の大きな魅力です。
さらに本作は、美麗なイラストを手がけるフライ先生の描き下ろしイラストによって、キャラクターの心情や空気感がより鮮やかに表現されています。
修が逃げ続けてきた過去や諦めた夢、そして残された時間の中で果たそうとする約束は、読者の胸を強く打ち、人生の選択や後悔と重なり合います。
「もしももう一度だけやり直せるなら――」そんな想いを抱いたことがある人にこそ響く、大人の青春物語となっています。
『キミの忘れかたを教えて』総合評価
『キミの忘れかたを教えて』は、総合評価 Aランク とさせていただきます!
大人の青春を丁寧に描いたストーリーは胸に響くものがあり、キャラクター同士のぶつかり合いや心のすれ違いもリアルで、読者を強く引き込みます。
フライ先生によるイラストも作中の雰囲気と見事にマッチしており、登場人物の感情を一層際立たせていました。
とくに「凡才と天才の対比」を軸にした物語構成や、限られた時間の中で描かれる青春の儚さは、読後もしばらく心に残るほど印象的です。
さらに、世界観や舞台設定も現実的で共感しやすく、自分の人生と重ね合わせながら楽しめるのが大きな魅力でした。
一方で、テーマがシリアスで心を抉られる場面も多く、人によっては重く感じられるかもしれません。
しかし、それこそが本作の核を支える要素であり、もし軽いラブコメ調になってしまえば、この作品の持つ切実さや深みは失われていたでしょう。
そのため「明るく気楽に読める恋愛小説」を求めている方には向かないかもしれませんが、青春の苦さや人生の選択を真正面から描いた物語を味わいたい方には、間違いなく Aランクにふさわしい一冊 です。
また、下記の記事にオススメのラブコメ作品をまとめておりますので、良かったらご覧下さい!
フライ先生のオススメ作品
①『弱キャラ友崎くん』
『キミの忘れかたを教えて』で、青春の苦さや人生の選択を真正面から描いた物語に心を揺さぶられた方にこそ読んでいただきたいのが、『弱キャラ友崎くん』です。
物語は、ゲームの世界では日本一を誇る実力を持ちながら、現実では自信のない弱キャラ高校生・友崎が、完璧美少女・日南葵から「人生攻略」を指南されることで成長していく青春ラブコメ。
「人生はクソゲー」と投げやりだった友崎が、日南の厳しくも温かい指導を通じて人間関係を築き、少しずつ自分を変えていく姿は、読者にも大きな勇気を与えてくれます。
ときにシリアスで、時にコミカル。友情や恋愛の揺れ動きが自然に描かれており、共感と共に胸が熱くなる展開が続いていきます。
『キミの忘れかたを教えて』で描かれた青春の葛藤に共感した方なら、友崎と仲間たちの不器用でまっすぐな成長物語にもきっと夢中になれるはず。
等身大の青春ドラマと胸キュン要素を同時に味わいたい方に、ぜひ手に取っていただきたい一作です。
『弱キャラ友崎くん』について、詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
②佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I’ll have Sherbet!
『キミの忘れかたを教えて』で、青春の痛みやすれ違う想いに心を動かされた方にオススメしたいのが、『佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I’ll have Sherbet!』です。
物語は、不動産屋の手違いから始まるルームシェア。
主人公と一つ年下のヒロインが、ひとつ屋根の下で過ごす日々を描いています。
学校ではお淑やかなお嬢様のように見える彼女が、主人公の前では小悪魔的な一面を見せる――そんなギャップに、思わず心を掴まれるでしょう。
本作は、少し重たいテーマを扱いつつも、基本的には楽しく読めるラブコメであり、可愛いヒロインの魅力とドキドキの同居生活をたっぷり味わえます。
全5巻で完結済みのため、気軽に手に取りやすいのも大きなポイント。
青春の甘さと苦さをバランスよく描いた本作は、『キミの忘れかたを教えて』を読み終えた後の余韻にぴったり寄り添ってくれるはずです。
読んだ感想
『キミの忘れかたを教えて』は、切ないラブコメを探してる時にKindle Unlimitedで偶然見つけた作品でした。
全2巻完結でしかもタイトルで、これは切なくて絶対面白いやつだと確信しました。
そして、実際読んでみると青春時代のすれ違いをテーマとしており、読み始めると一気に引き込まれました。面白かったです。
まず主人公の松本修は元大学生の引きこもりで、今は実家に住んでいます。
その引きこもり最中に大きな病気が見つかりますが、手術をせずに残りの余生を過ごすことを決めます。
しかも、幼馴染でヒロインの桐山鞘音とは仲違いをしている状態のため、最初読んだ時は「この主人公不幸すぎない?」と思い、ここからどんなって行くんだろうとワクワクしました!
そして面白いのが桐山鞘音がこのタイミングで田舎に帰ってくるところです。
鞘音は、修とは大違いで歌手として大成功を収めています。修とは幼馴染で学生時代のすれ違いにより絶縁状態です。
そんな二人が地元で再会するところから物語が始まります。
最初の方は、お互いに拗らせ中のため全く噛み合わせませんが、二人の共通の先輩・正清を始めとした地元の人たちのお陰で少しずつ仲直りしていきます。
はっきり言って、この二人だけでは、なにも起きずに終了してました笑
二人がすれ違った理由についても、どちらの気持ちも理解できるため共感できました。
また青春作品らしいすれ違いでしたが、5年も引っ張るのは長すぎじゃない?と少し思いました笑
個人的に、1巻の最後の展開が好き過ぎて、余韻が半端なかったです!
やっぱり王道展開は最強笑
あとは、修自身の心境の変化も目が離せないポイントとなっており、物語の初めでは余命宣告を受け何もやる気が起きない無気力キャラでしたが、鞘音や地元の仲間たちとの再会をきっかけに少しずつ生きる意味を見出していきます。
また、鞘音についてはクール系美人さんなのに「音楽が私を呼んでいる」みたいな感じで突然どこかに行ったり、と天才肌の一面もありギャップがあって面白いです笑
おまけにロリコンで、周りからロリ山と呼ばれていたりと、キャラが濃くて最高です!
全2巻完結となっておりますが、1巻の時点で二人のすれ違いについては決着がついており、2巻では後日談+新キャラの初恋物語が中心に描かれており、ファンにとっては嬉しい内容となっています。
個人的には1巻を映画化してほしいです笑
『キミの忘れかたを教えて』が好きな人にオススメの作品
『キミの忘れかたを教えて』が好きな方には、以下の作品もオススメです。
①君に恋をするなんて、ありえないはずだった
『キミの忘れかたを教えて』で、すれ違った幼馴染が再会し、不器用に惹かれ合う姿に心を掴まれた人にこそ読んでほしいのが、『君に恋をするなんて、ありえないはずだった』です。
地味で冴えない男子高校生・飯島靖貴と、同じクラスの派手系ギャル・北岡恵麻が織りなす青春ラブコメ。
勉強合宿で恵麻を助けたことをきっかけに、二人は交流を持つようになります。
最初は互いに苦手意識を抱えていた関係ですが、次第に距離が縮まり、ちょっとしたことで嫉妬したり、素直になれずにすれ違ったり――そんな青春ならではの甘酸っぱさが詰まっています。
修と鞘音が過去の誤解を乗り越えて少しずつ歩み寄っていったように、靖貴と恵麻もまた、不器用ながら確かに「恋」を見つけていきます。
全2巻完結+外伝1巻・短編1巻と読みやすくまとまっているので、『キミの忘れかたを教えて』の余韻を味わった人にはぴったりの一冊。
思わずニヤニヤしてしまうやり取りと、胸がぎゅっとなる青春の葛藤が、あなたの心にもきっと響くはずです。
②透明な夜に駆ける君と目に見えない恋をした。
『キミの忘れかたを教えて』で、忘れられない想いと青春の切なさに心を揺さぶられた人にこそ読んでほしいのが、『透明な夜に駆ける君と目に見えない恋をした。』です。
第15回GA文庫大賞《大賞》を受賞した話題作で、志馬なにがし氏による筆致は静かでありながら力強く、読み手の感情を鮮やかに掴みます。イラストはしゅがお先生が担当し、登場人物の心情をより深く伝えてくれます。
物語の中心にいるのは、人付き合いが苦手な大学生・空野かけると、目が見えない少女・冬月小春。
小春の前向きさと明るさが、かけるの内向的な心に変化を与えていく過程は、まさに「見えない恋」が形を持っていく瞬間の連続です。
日常の些細なやり取りや、秘密の共有から生まれる温かさに加え、大学生活や友人関係など青春の機微もしっかりと描かれており、読者は自然と二人の物語に寄り添ってしまいます。
『キミの忘れかたを教えて』が「過去を忘れられない痛み」を描いた物語だとすれば、『透明な夜に駆ける君と目に見えない恋をした。』は見えない未来への不安と、それを乗り越える強さを描いた物語。
二人が互いに支え合いながら過ごす時間は決して永遠ではないかもしれませんが、その儚さが逆に「誰かを想うことの尊さ」を際立たせています。
涙なしでは読めない展開と、心に残るラストシーン。読み終えた後には必ず「この作品に出会えて良かった」と思えるはずです。
『透明な夜に駆ける君と目に見えない恋をした。』について、詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
まとめ|『キミの忘れかたを教えて』は切なさと希望が響く青春ラブコメ
『キミの忘れかたを教えて』は、あまさきみりと先生による切なくも温かい青春ラブコメで、フライ先生の美しいイラストが物語をさらに引き立てています。
余命半年を抱えた主人公と、芸能人になった幼馴染の再会を軸に、天才と凡才の対比や、諦めかけた夢と向き合う姿が丁寧に描かれています。
「心に残る青春小説を読みたい」「恋と人生の選択に共感したい」という方には間違いなく響く一冊です。
気になっている方は、ぜひ手に取ってみてください。