あなたは、もしも「気になるあの子の本音」を偶然聞いてしまったらどうしますか?
本作『恋は夜空をわたって』は、そんなドキドキする瞬間から始まる青春ラブコメです。
普段はクールで塩対応な後輩・御簾納咲が、実は恋に悩み、そして好きな先輩のことをラジオ配信で語っていた――しかもその相手が自分だったとしたら。
この運命的な始まりが、読者を一気に物語へ引き込みます。
ラジオという少し不思議でロマンチックな媒体を通して描かれる、すれ違いと心の距離の縮まり。胸をときめかせたい人にぴったりの物語です。
また、下記の記事でオススメのラブコメ作品をまとめております。良かったらご覧下さい!
『恋は夜空をわたって』とは?
『恋は夜空をわたって』は、岬 鷺宮先生によるライトノベルで、KADOKAWA/電撃文庫より刊行されている青春ラブコメ作品です。イラストはしゅがお先生が担当しています。
本作は、学園で塩対応と評されるクールな後輩・御簾納咲と、彼女の本音を深夜ラジオ配信で偶然耳にした先輩・長谷川壮一との、ラジオを通じて芽生える恋を描いた物語です。
声だけで心を通わせる瞬間から、現実の距離がゆっくりと縮まっていく様子が胸底にじんわりと染み渡ります。
ラジオの声の距離感と、普段とラジオ上での咲のギャップが描き出す青春のきらめきが、本作の大きな魅力です。
図書委員という身近な日常の中で生まれる小さな会話の行間に、ときどきドキッとする瞬間が積み重なります。静かで確かなときめきを味わいたい読者にこそおすすめしたい作品です。
さらに、シリーズは既に完結済み(全2巻)のため、まとめて一気に読了可能です。
クール系ヒロイン好き、言葉で心が近づく恋にときめく方、完結済みの青春ラブコメを探している読者に、ぜひ手にとってほしい一冊です。
また、下記の記事で5巻以内で完結するラブコメ作品をまとめております。良かったらご覧下さい!
あらすじ概要
<作品情報>
塩対応なあの子の本音が、その夜ラジオから流れてきた。【読書メーターおすすめ2週連続1位達成!】
引用元:恋は夜空をわたって|書籍情報|電撃文庫・電撃の新文芸公式サイト
「……あれ、この声、御簾納じゃね?」
ある晩、適当に選んだ配信から流れてきたのは、聞き覚えのある声だった。
小柄なのに大人びた、お洒落な美人。つれない態度のクール系後輩、御簾納咲。
そんな御簾納が生配信!? しかも、話しているのはまさかの“恋バナ”。リスナーからの相談に乗って、自分の片思いの話までしていて……なんか普段とキャラが違くない!?
そのうえ、俺は気付いてしまう。御簾納が話す“好きな先輩”。
それがどう考えても、俺自身であることに……。
ラジオが二人を近づけていく、配信青春ラブコメディ!
上記の通り、『恋は夜空をわたって』は、偶然耳にしたラジオ配信をきっかけに、主人公・壮一と後輩・咲との距離が少しずつ変化していく物語です。
学校では無愛想で近寄りがたい存在の咲。しかし、ラジオでは年相応に恋に悩み、嬉しさや恥ずかしさを隠しきれずに素直に言葉にしてしまう。そんな裏の顔を知ってしまった壮一は、次第に彼女を意識するようになります。
やがて壮一は、ただ聞くだけでは満足できず、自らもラジオへお便りを投稿するように。彼の言葉に咲が反応し、配信と現実の二つの場で探り合うようなやり取りが始まります。
図書委員として過ごす静かな時間の中でも、どこかぎこちなく甘酸っぱい会話が生まれ、二人の関係は加速度的に変わっていきます。
「声」で繋がる特別な関係が、日常の中で“恋”へと変わっていく――。
ラジオという舞台装置が描き出す青春のきらめきが、本作最大の魅力です。
岬 鷺宮先生のオススメ作品
①三角の距離は限りないゼロ
『恋は夜空をわたって』で、声をきっかけに生まれる特別な距離感や、心の奥に秘められた想いに胸を掴まれた方にこそ読んでいただきたいのが、『三角の距離は限りないゼロ』です。
物語の主人公は、人前で「偽りの自分」を演じてしまう高校生・矢野四季。
彼が惹かれたのは、どんなときも自分を貫く物静かな転校生・水瀬秋玻でした。
しかし、秋玻の中にはもう一人の人格――優しくて少し抜けた少女・春珂が存在していたのです。
一人の身体に宿る二つの人格と、それを知ってしまった四季。三人でありながら二人という、ねじれた関係のなかで育まれていくのは、淡くも切実な青春の恋物語です。
この作品の大きな魅力は、単なるラブコメにとどまらず「本当の自分とは何か?」という普遍的なテーマを正面から描いていること。
偽りの自分を演じてしまう四季と、人格を分けることで自分を守ってきた秋玻/春珂。彼らの心の葛藤は、読む者に強い共感と胸の痛みを呼び起こします。
さらに、ヒロインの人格がいつひとつに戻ってしまうのか分からない――という緊張感が物語全体を覆い、読者を強く惹きつけます。ページをめくる手が止まらなくなること必至です。
『恋は夜空をわたって』のように、心の揺れや特別な関係性に惹かれた方には、ぜひ手に取ってほしい一作です。
②あした、裸足でこい。
『恋は夜空をわたって』で、青春のきらめきと切なさを味わった方におすすめしたいのが、『あした、裸足でこい。』です。
主人公・坂本巡は、人気歌手となった恋人・二斗千華と次第に疎遠になっていきます。
そんな中、卒業式の日に千華が失踪したことを知った巡は、かつて二人で過ごした部屋でピアノを奏でます。
すると視界が光に包まれ、千華と初めて出会った高校1年の春へとタイムスリップしてしまうのです――。
失踪した彼女を救うために過去へ戻り、その原因を探りながら未来を変えようと奮闘する、SF要素を取り入れた青春ラブコメ。全5巻完結の作品ですが、二転三転するストーリー展開に引き込まれ、最後までページをめくる手が止まりません。
本作の魅力は、主人公・巡が過去と現在を行き来しながら「より良い未来」を掴み取ろうと奮闘する姿です。
諦めかけていた夢を再び追いかける展開は熱く、読者の胸を大きく揺さぶります。
対するヒロイン・千華は圧倒的な才能を持ちながら、その輝きゆえに周囲を不幸にしてしまう現実に苦しむ存在。
巡は彼女と関わる人々の運命を変えようと挑みますが、その中には自分自身も含まれていて――後半にかけて怒涛の展開が待ち受けています。
そしてタイトル「あした、裸足でこい」に込められた意味は、物語を最後まで読んでこそ明らかになります。その瞬間、胸にこみ上げる感情はきっと忘れられません。
『恋は夜空をわたって』のように、青春の甘酸っぱさと心を震わせるドラマを求める方にこそおすすめしたい、完成度の高い一作です。
『あした、裸足でこい。』について、詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

オススメポイント3選

①ラジオ配信が導く“偶然”と“必然”のラブストーリー
本作の魅力を語るうえで欠かせないのが、物語の始まりを飾る「ラジオ配信」という仕掛けです。
ある晩、主人公の壮一が気まぐれに選んだ深夜の配信
その何気ない行動が、後の恋の行方を大きく左右する運命の分岐点となります。
スピーカーから流れてきた声は、どこかで聞いた覚えのある落ち着いた声色――それが、普段は学校でクールに振る舞い、あまり感情を表に出さない後輩・御簾納咲だったのです。
「なぜ彼女が、こんな時間に配信なんて?」という驚きとともに、さらに耳を疑う展開が待ち受けています。
咲がリスナーからの恋愛相談に答えながら、まるで自分自身の恋を重ねるように語り始めるのです。
そこに描かれるのは、「好きな先輩」への秘めた想い。
しかも、言葉の端々から、その相手がどう考えても自分――壮一であることに気付いてしまう。
このシーンが秀逸なのは、単なる「告白」ではなく、本人に聞かれるはずのない配信を通じて真実が漏れ出てしまう点です。
直接ではないからこそ、「確かに自分のことを言っているはずだ」と思いながらも、どこかで「いや、もしかしたら違うのでは」という迷いが生じる。
この確信と不安の狭間に置かれた壮一の心情は、読者にとっても強い共感とドキドキを呼び起こします。
②クール系ヒロインの可愛すぎる“裏の顔”
御簾納咲というキャラクターを語る上で外せないのが、彼女が持つ二面性です。
学校ではいつも冷静沈着、周囲に流されず、一歩引いたような立ち位置をとる彼女。
口数も少なく、男子からすると「美人だけど近寄りがたい」という印象を抱かせる存在です。
まさに、誰もが一度は憧れる「高嶺の花」のようなヒロイン像。
壮一に対しても、表面上はそっけなく、特別な感情を抱いていることをおくびにも出しません。
しかし、ラジオ配信という舞台に立ったとき、その仮面は少しずつ剝がれていきます。
マイクの前で語る彼女は、学校でのクールな態度とはまるで別人。
リスナーから寄せられた恋愛相談に真剣に耳を傾けながらも、時には自分の片想いを重ねてしまい、思わず言葉に熱がこもってしまう。
声色や話し方には年相応のあどけなさがにじみ、普段の彼女を知る壮一にとっては「こんな顔もするんだ」と胸を撃ち抜かれる瞬間の連続です。
さらに心を掴むのは、彼女の不器用さ。
壮一に遊びやイベントへと誘われたとき、本当は飛び上がるほど嬉しいのに「べつに暇だから行くだけ」と言い張ってしまう。
素直になれず、照れ隠しで冷たい態度を取ってしまう姿は、ただのクールキャラではなく「普通の女の子」としての愛らしさを強調します。
普段は手の届かない存在のように思えていた彼女が、恋愛に関しては人一倍ぎこちなく、無防備で、どこか守ってあげたくなる――その落差こそが読者の心を強く惹きつけるのです。
③何気ない日常が特別になる会話劇
引用元:恋は夜空をわたって 1巻 Screenshot
本作の三つ目の魅力は、主人公・壮一と咲が交わすやり取りにあります。
特別なイベントや劇的な出来事がなくとも、二人が一緒に過ごす時間そのものが小さな恋の舞台となり、会話の一言一句にときめきや笑いが詰まっています。
たとえば図書委員として静かな図書館で顔を合わせる場面。
業務の合間に交わされるさりげない会話には、からかい半分、探り半分の絶妙な空気感が漂います。
普段なら見過ごしてしまうような何気ない言葉の応酬が、二人にとっては「相手が自分をどう思っているのか」を確かめる大切なやり取りに変わっていくのです。
読者はその一瞬一瞬に息をひそめ、二人の距離が縮まっていくのを間近で見守っているような感覚を味わえます。
さらに印象的なのは、沈黙すらもドラマに変わる点です。
お互いに口に出せない気持ちを抱えているからこそ、ふと訪れる静けさが意味を帯びてしまう。
そこに挟まれる咲の小さなため息や、壮一の視線の揺れは、読者にとって強烈な「ドキッとする瞬間」となります。
特に図書館デートのシーンは最高でした。
『恋は夜空をわたって』が好きな人にオススメの作品
『恋は夜空をわたって』が好きな方には、以下の作品もオススメです。
①透明な夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。
『恋は夜空をわたって』でラジオを通じてつながる純愛に心を震わせた人にこそ読んでほしいのが、『透明な夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。』です。
人付き合いが苦手な青年・空野かけると、目の見えない少女・冬月小春が出会い、少しずつ心を通わせていく物語。
互いに距離を測りながらも惹かれ合っていく関係性は、読み始めた瞬間から引き込まれる力があります。
特に魅力的なのはヒロイン・小春のキャラクター。
目が見えないという状況にも関わらず、明るく前向きで、自分のことを誰にも頼らずにやり遂げようとする姿は本当に眩しく映ります。
そんな強さと優しさを持つ彼女が、恋をした瞬間には年相応の普通の女の子に変わる――そのギャップに、きっと心を奪われるはずです。
物語はただの青春ラブコメにとどまりません。読み進めるほどに想像を超える展開が待っており、ときに涙腺を刺激しながらも「二人の物語を最後まで見届けたい」と思わせてくれます。
とある花火のシーンでは、二人の気持ちが重なり合う瞬間が鮮やかに描かれ、読後も心に残り続ける名場面となるでしょう。
そしてラストには、思いもよらない展開と、溢れるほどの感動が待っています。
ページを閉じたとき、あなたもきっと「もっと早く読めばよかった」と思わずにはいられないはずです。
『恋は夜空をわたって』が描いた言葉でつながる恋に胸を打たれた読者なら、『透明な夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。』が届けてくれる見えないものを信じる恋にも、間違いなく心を揺さぶられるでしょう。
②クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった
『恋は夜空をわたって』でクールな後輩の裏の顔や、日常の中で育まれる甘酸っぱい恋に心を掴まれた人にこそ読んでほしいのが、『クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった』です。
タイトル通り、学園一の美少女ではなく2番目に可愛いと呼ばれる少女と、冴えない男子が友達関係から少しずつ距離を縮めていく物語。
そこにあるのは、いきなり恋人になるような劇的展開ではなく、隣に座って交わす何気ない会話や、一緒に過ごす時間の積み重ねから芽生える絆です。
普段は周囲に見せない本音や弱さを、不意にこぼしてしまうヒロイン。
彼女の「完璧ではない」姿を知ることで、主人公は少しずつ彼女に惹かれていきます。
その過程はまさに、『恋は夜空をわたって』で壮一が御簾納咲の配信を通して知らなかった一面に触れた瞬間と重なります。
ただの友達のはずなのに、気づけば隣にいる時間が一番心地よくて、自然と特別な存在になってしまう。
そんな関係性の変化は、青春ラブコメならではの甘酸っぱさに満ちています。
「まだ付き合っていないけれど、すでに二人だけの物語が始まっている」――その微妙な距離感に、ページをめくる手が止まらなくなるはずです。
友達から恋へ、そして「2番目」から「唯一無二」へと変わっていく関係。
その過程をじっくりと描く『クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった』は、『恋は夜空をわたって』で胸をときめかせた読者に必ず響く一冊です。
『クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった』について、詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
まとめ|ラジオから始まる恋は、きっとあなたの胸にも届く
『恋は夜空をわたって』は、ラジオ配信をきっかけに始まる青春ラブコメでありながら、登場人物たちの何気ないやり取りや、普段は見せない素顔のギャップを丁寧に描いた、温かくて心に残る物語です。
クールな後輩の裏の顔に惹かれ、やがて恋へと変わっていく過程は、きっと誰もが共感し、ときめきを思い出させてくれるでしょう。
1巻だけでも満足感の高い完成度ですが、続刊を読めばさらに広がる世界に浸ることができます。
ラジオから届く声が、二人の距離を縮めたように――この物語も、きっとあなたの心に静かに響き渡るはずです。