「マーダーミステリー(通称マダミス)」という言葉を耳にしたことがあっても、「気になるけど、どこから始めればいいの?」という人は多いのではないでしょうか。
マダミスとは、プレイヤーが登場人物になりきって事件の真相を推理する体験型ミステリーゲームのこと。
ボードゲームのような戦略性と、ドラマのような物語性を兼ね備えており、一度ハマると抜け出せなくなる奥深さが魅力です。
とはいえ、作品によって難易度・文章量・プレイ人数・雰囲気が大きく異なります。
さらに、同人・店舗限定など入手が難しい作品も多く、最初の1本を選ぶのは意外と大変。
間違った作品を選ぶと、「難しすぎて楽しめなかった……」なんてことにもなりかねません。
そこで本記事では、筆者が実際にプレイして「これなら初心者でも安心して楽しめる!」と感じた
入手しやすく、満足度の高いマダミス5作品”を厳選して紹介します。
推理の爽快感、キャラクターとの駆け引き、そして物語の没入感。
あなたの「初マダミス」を最高の体験にする1本が、きっとここにあります。
①京都異世界ツアー
「マダミスって、ちょっと難しそう…」という人にこそ遊んでほしいのが、『京都異世界ツアー』です。
タイトル通り、舞台は日本屈指の観光地・京都。
そして物語は、異世界の勇者や妖精族、鬼族が京都観光に訪れるという、突拍子もない発想から始まります。
まるでRPGのような異世界設定と、現実の観光名所を歩きながら進む推理ゲーム。
そのユーモアと没入感が、本作最大の魅力です。
物語は、観光の最終地・伏見稲荷大社で勇者の遺体が発見されるところから一気に動き出します。
血に染まった「おもかる石」、不自然な行動をとる仲間たち──。
あなたは京都の地図を広げながら、仲間と協力して犯人と事件の真相を突き止めていきます。
難解な論理や重いテーマはなく、プレイヤー同士の会話や推理の駆け引きを気軽に楽しめるのがポイント。
観光ガイドのように京都の名所が登場するため、「修学旅行みたい」と盛り上がれるのも本作の醍醐味です。
また、本作はグループSNE初のオンライン対応作品。
1人が購入すれば、遠く離れた友人たちともオンラインで遊ぶことができます。
ルールもシンプルで、マダミス初心者が最初に体験する作品としても非常におすすめ。
「推理の楽しさ」と「旅行気分」の両方を味わえる、軽快で遊びやすい一作です。
さらに本作の世界観は、続編である『札幌異世界ツアー』にも繋がっています。
雪まつりで賑わう札幌の街を舞台に、異世界人と人間の関係性を描く物語は、前作よりもミステリー色がやや強め。
「京都編」でマダミスの面白さを知ったプレイヤーが、次のステップとして挑戦するのにぴったりな内容です。
どちらの作品もマップを使って観光名所を巡りながら推理を進める形式で、世界観の繋がりを感じながらシリーズとして楽しめます。
『京都異世界ツアー』は、「マダミスって何から始めればいい?」と迷っている人への最初の一歩に最適な作品。
テンポよく笑えて、ワクワクしながら謎に挑める観光×推理の異色作です。
友人と旅気分でプレイして、あなたも異世界観光に出かけてみませんか?
②私が犯人だ
「マーダーミステリーは大人数じゃないと楽しめない」――そんな常識を覆すのが、この『私が犯人だ』です。
プレイヤーはわずか2人。
それなのに、体験はまるで映画を一本観終えたような充足感。
濃密な会話と緊張感に包まれた3時間が、きっとあなたのマダミス観を変えます。
舞台は現代アメリカ・カリフォルニア。田舎町で起きた焼死体事件をきっかけに、物語は静かに動き出します。
警察署に自首してきた青年は、淡々とこう告げるのです。
「私が殺しました。そして、これからもう一人殺すつもりです」
一見、ただの自供。しかしその裏には、論理では測れない異様な予告が隠されていました。
プレイヤーの一人は青年、もう一人は捜査官として、互いに真実を探り合うことになります。
シナリオが進むたび、事件の輪郭が少しずつ明らかになり、点と点が線でつながっていく――。
推理を交わす会話そのものが物語を形づくり、プレイヤー二人の心理戦として立ち上がっていく構成は、まさに演じながら解く体験。
マーダーミステリーに慣れていない人でも、スムーズに感情移入できるよう作られているのが嬉しいところです。
そして何よりの魅力は、「二人で一つの物語を共有する」没入感。
他のプレイヤーに任せる時間がなく、全ての選択・推理が自分たちの会話で決まっていく。
ゲームが終わったあとも、「あのときの発言には意味があったのか」「あの判断が正しかったのか」と、感想戦が止まりません。
私自身、パートナーとプレイしましたが、終盤の真相に辿り着いた瞬間、まるで映画のラストシーンを一緒に観たような静かな感動を覚えました。
2人用のマダミスは短時間のライト作品が多い中、『私が犯人だ』は約3時間のボリュームで本格的な推理の手応えを体験できる稀有な作品。
難解すぎるトリックやメタ的な仕掛けもなく、初心者でも無理なく最後まで走り抜けられます。
「じっくり考えたい」「物語を味わいたい」「大人数を集めるのは難しい」――
そんな人にこそ、この作品を勧めたい。
静かに、しかし確実に心を揺さぶるマーダーミステリー。
『私が犯人だ』は、2人で体験する極上の心理劇です。
③ウェンディ、大人になって
初心者でも安心して遊べて、終わったあとに「いい作品だった」と余韻が残る。
そんなマーダーミステリーを探しているなら、『ウェンディ、大人になって』は間違いなくオススメです。
本作は、AI(人工知能)をテーマにした少人数向けマダミス。
舞台となるのは、とある実験施設。登場人物たちは、科学者や助手、そしてAI自身など、それぞれ異なる立場から“ある事件”の真相を探ります。
SF的な要素を含みつつも、物語の核にあるのは人間の感情や選択。
難しい専門知識は必要なく、誰でも自然と物語に引き込まれるよう構成されています。
ゲームは密談なしの全体議論形式で進行。
プレイヤー全員が一つのテーブルを囲んで話し合うスタイルなので、初心者でも会話に入りやすく、テンポよく進められます。
『ウェンディ、大人になって』の魅力は、推理そのものよりも物語の深さと心の動きにあります。
プレイが進むにつれて少しずつ明らかになる登場人物たちの想いは、静かに、でも確実に心を揺さぶってくるはずです。
マダミス初心者に「物語で泣ける作品をやってみたい」と聞かれたら、真っ先に推したい一作。
派手なトリックよりも、人間ドラマの温かさや切なさで魅せる名作です。
④何度だって青い月に火を灯した
もし「マダミスを初めて遊ぶ友人にどれを勧める?」と聞かれたら、私は真っ先に『何度だって青い月に火を灯した』を挙げます。
この作品には、マーダーミステリーの醍醐味がすべて詰まっています。
舞台は1960年代のイタリア。
跡目争いの火種がくすぶるマフィア・ファミリーの屋敷で、ボスが殺害されるところから物語が始まります。
ボスの弟、妻、構成員、占い師、娼婦――。
それぞれの思惑が絡み合い、誰が味方で誰が敵なのか分からなくなる重厚な人間ドラマが展開されます。
本作が初心者に特におすすめできる理由は、マダミスの基本的な流れがすべて体験できる構成にあります。
情報収集、推理、議論、そして最終決断。
どのフェーズも丁寧に設計されており、「マダミスってこういうゲームなんだ」と自然に理解できる仕組みになっています。
難解すぎるトリックや複雑なギミックがなく、物語とキャラクターを楽しみながら遊べる点も魅力です。
『何度だって青い月に火を灯した』は、初心者がルールを学ぶにも、経験者が戦略を磨くにも最適な一作。
「マダミスって面白い!」という感覚を最初に味わわせてくれる、まさに入口にして原点回帰の傑作です。
あなたのマダミス人生は、この青い月から始まるかもしれません。
⑤腐草館からの招待状
マーダーミステリーに興味はあるけれど、「情報が多くて難しそう…」と尻込みしてしまう方に、まずオススメしたいのが『腐草館からの招待状』です。
舞台は、山奥にぽつんと佇む洋館・腐草館。心霊スポットとして噂されるその場所に届いた、一通の招待状。集められた数名の男女、そして晩餐の後に響き渡る悲鳴——。
館に閉じ込められた彼らの中に、殺人犯がいるのか?という王道の展開が、初心者でも直感的に理解しやすく、物語への没入感を自然に高めてくれます。
本作の魅力は、プレイしやすさに徹底的にこだわった設計。文章量や情報カードの枚数は控えめで、ゲームの進行もシンプル。
初プレイでも混乱せず、スムーズに推理と物語を楽しめます。まさに「マダミスの基礎体験」をギュッと詰め込んだ一作です。
また、ゲーム外の細かな演出にもこだわりが光ります。
箱の裏面が館の地図になっていたり、トークンが可愛い動物イラストだったりと、手に取った瞬間からワクワクする工夫が満載。プレイ前から気分が盛り上がります。
中級者以上にはやや物足りなさを感じるかもしれませんが、マダミス初心者にとっては「最初の一歩」としてこれ以上ない導入作品。
「マダミスを体験してみたいけど、何から始めたらいいか分からない」という方にこそ、ぜひこの“館の扉”を叩いてほしい一作です。
番外編
今回のランキングでは「初心者でも遊びやすいマダミスTOP5」を紹介しましたが、ここでひとつだけ番外編として紹介したい作品があります。
それが『キルタイム・キラーズ 絶泉館の殺人』。
この作品は「初心者でも遊べるのに、経験者も夢中になる」という稀有なバランスを持つ、まさに沼の入り口と底を同時に見せてくれる異色のマーダーミステリーです。
基本的なルールは理解しやすいのに、展開はスリリングで中毒性が高く、マダミスにハマりかけた人を一気に深みに引きずり込む――そんな魅力を持っています。
キルタイム・キラーズ 絶泉館の殺人
舞台は、避暑地の山奥に佇む古びた洋館「絶泉館」。
ある日、その館の主が殺され、現場には記憶を失った男女5人が倒れていた。
奇妙なことに、彼ら全員が「未逮捕の殺人鬼」であるという――。
容疑者は全員殺人鬼。殺すか、殺されるか、あるいは真相を暴くか。
極限の心理戦が繰り広げられる、スリル満点のマーダーミステリーがここに開幕します。
一見コミカルなアニメ調ビジュアルながら、その中身はシリアスでスリリング。
プレイヤー自身が「殺人鬼として覚醒」するという独自システムが物語を加速させ、推理・戦略・駆け引きが見事に融合しています。
さらに「キラーポイントチップ」を使ったやり取りが、プレイヤー同士の関係を揺さぶり、緊張感と駆け引きの妙を演出します。
また、注目すべきはGM(ゲームマスター)キャラクターの存在。
物語の一員として進行役を担うことで、初心者でもルール理解に困らず、スムーズに物語へ没入できます。
しかもGM自身にも特別な目的があるため、プレイヤーとして再び参加することも可能。リプレイ性の高さも抜群です。
『キルタイム・キラーズ 絶泉館の殺人』は、初心者にも優しく、経験者も熱中できる絶妙な沼。
軽快なテンポと驚きの展開、そして覚醒の瞬間に訪れるゾクゾク感――。
この作品を遊び終えた時、あなたもきっとマダミスの魅力から逃れられなくなっています。
まとめ|最初の1本で、マダミスにハマるか決まる
マーダーミステリーの魅力は、「自分が物語の登場人物になる」体験にあります。
推理、駆け引き、そして人間ドラマ――どんなに多くの作品を遊んでも、最初の1本で感じた興奮は忘れられません。
だからこそ、どの作品から始めるかが“運命の分かれ道”**です。
今回紹介した5作品は、どれも物語の完成度・プレイしやすさ・没入感のバランスが絶妙で、
「マダミスってこんなに面白いんだ」と感じられるラインナップを厳選しました。
初めての一夜を共にした登場人物たち、交わした言葉、推理の瞬間。
そのすべてが、きっとあなたを次の物語へと導いてくれるはずです。
また、下記の記事で私が今までプレイしたマダミスのオススメポイントまとめています。
良かったらご覧ください!


