悪役令嬢が殴って解決!?『さいひと』感想レビュー

「悪役令嬢」――その言葉から、どんな物語を思い浮かべますか?
陰謀、婚約破棄、涙の断罪シーン……そんな王道の展開を想像した方にこそ、ぜひ読んでほしいのが
**鳳ナナ先生の『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』**です。

本作は、“悪役令嬢もの”というジャンルの定番を軽やかに飛び越え、
予想をはるかに超えるスカッと爽快な展開と痛快な笑いで話題を集めています。

一見シリアスな導入から始まりながら、気づけば笑顔になっている――
そんな読書体験をくれる、ちょっと異色で、でも確実にクセになる一冊です。

“悪役令嬢”という言葉に飽きた人も、きっとこの作品でその意味が少し変わるはず。
今回は、そんな話題作『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』の魅力を、
ネタバレなしでじっくりとご紹介します。

『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』とは?

『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』は、鳳ナナ先生による日本のライトノベル作品。

小説投稿サイト「アルファポリス」にて2018年4月より連載され、書籍版はレジーナブックス(アルファポリス)より同年8月から刊行されています。

また、ほおのきソラ先生によるコミカライズ版も2019年6月から同サイトで連載中で、2025年にはテレビアニメ化も果たした人気作です。

悪役令嬢ものの王道に見えて、予想を裏切る痛快コメディとして話題を集めている本作。

物語の主人公は、第二王子カイルから婚約破棄を宣告された公爵令嬢・スカーレット。
突然の裏切りと理不尽な糾弾の中、彼女が静かに放った一言がすべてを変えます。

――「最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか?」

そう告げたスカーレットのお願いとは、なんと婚約破棄を言い渡した王子や貴族たちを物理的にブッ飛ばすこと

ここから始まるのは、悪役令嬢が拳で全てを解決していく、予測不能でスカッとする逆転劇です。

本作の魅力は、スカーレットの痛快な暴れっぷりだけでなく、彼女の内に秘めた優しさと誇り高さにあります。

理不尽に屈せず、堂々と笑い飛ばす姿は、ただのギャグでは終わらない魅力があります。

表情豊かに描かれるアクションとギャグ、そして強く生きる女性の姿。

「ざまぁ」展開の快感と、「悪役令嬢」ジャンルの新たな可能性を融合させた本作は、ストレス解消×爽快感×笑いの三拍子が揃った傑作です。

「理不尽な世界を拳で変えるヒロインが見たい!」

そんなあなたにこそ、『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』はぴったりの一冊です。

『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』総合評価

『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』は、総合評価 Bランク とさせていただきます!

悪役令嬢×ざまぁ×バトルというありそうでなかった切り口を用いながら、ヒロイン・スカーレットが理不尽な運命を拳でねじ伏せる痛快さとギャグセンスが絶妙に融合した作品です。

スカーレットの豪快な暴れっぷりはもちろん、彼女の中にある誇り高さや優しさがしっかり描かれており、単なるコメディに終わらないキャラクターの深みを感じさせます。

また、第一王子ジュリアスとの掛け合いによるテンポの良いコメディ要素も秀逸で、読後感が非常に爽快なのも本作の魅力です。

一方で、ストーリー展開自体はシンプルで、勢い重視のギャグテイストが強いため、感情的な深掘りやドラマ性を求める読者にはやや物足りなさを感じる部分もあるでしょう。
しかしながら、「悪役令嬢モノ」としての王道と、ジャンルの枠を壊す拳による正義の痛快さは、他作品にはない個性として光っています。

『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』は、定価で買っても十分に満足できる、ストレス解消系の良作コメディです。

「スカッとしたい」「笑って元気をもらいたい」――そんな読者にこそおすすめできる一冊といえるでしょう。

読んだ感想

『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』を読む前の私は、きっと主人公の計略による逆転劇が見れるに違いないと思い、読み始めましたが予想外の展開で驚きました。

物語の冒頭は、主人公のスカーレットが第二王子に婚約破棄されるところから始まります。

スカーレットは学園で「氷の薔薇」の異名を持つクール系美女で、第二王子の嫌がらせについても涼しい顔で対応しています。

そんなスカーレットが、婚約破棄の場で「最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか?」と尋ねます。

この時の私はスカーレットが第二王子を論破してボコボコにする展開だと思い、ワクワクしていましたが、実際の展開が想像の斜め上を言っていて面白かったです!

ボコボコにするとこらは、合っておりましたが物理的にボコボコにする展開でした笑

漫画の表紙にも手にグローブをしているため、自分の目が節穴すぎて笑いました。

そして、第二王子を含め、その婚約者と貴族の取り巻きたちをボコボコにしていきます。

そのボコボコ中に、貴族たちは思い出します。彼女の昔の異名を

その異名は「狂犬姫」笑

Screenshot
引用元:最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか 1巻より

因みに、この事件以降は「鮮血姫」にランクアップします。

ここで、スカーレットがとんでもないお転婆だということが発覚します笑

しかも第二話の入りが「子供の頃からとにかく人を殴るのが好きでした」というヤバすぎる入りのため、スカーレットの印象がどんどん変わっていきます。

第二王子の嫌がらせに耐えるため、心を無にしていたこともわかり、婚約破棄して以来はお転婆全開です笑

人を殴りたいため、自ら率先して悪党退治をしていきます。

やってることは、暴力で解決する最低な行為なのに、スカーレットが生き生きしているため、これでもいいかと自然に思えてきます。

しかも、スカーレットにはクロノワ(時の神)の加護という特別な力があります。

その加護のおかげで、近接戦最強です。
そのため、誰もスカーレットを止められません笑
やりたい放題です。

その様子が痛快すぎて、読んでいるとスカッとします。
ストレス解消にはもってこいで!

恋愛要素については、第一王子・ジュリアスが登場し、スカーレットとジュリアスを中心に描かれます。

第一王子・ジュリアスは面白い人が大好きで、スカーレットのことも珍獣として気に入っています笑

二人がいい感じになると、珍獣ネタを挟んで有耶無耶にされるため、恋愛については焦ったい展開が続きます!

『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』は痛快でスカッとするコメディ漫画となっており、ストレス解消をしたい人やコメディ好きの方にピッタリな作品でした!

スカーレットが好きな人にイチオシのキャラ

『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』で、スカーレットの「理不尽は殴って解決!」という爽快さと、揺るがない芯の強さに惹かれた人におすすめしたいのが、『マッシュル-MASHLE-』のマッシュ・バーンデッドです。

一見すると感情の起伏が少ない無表情な青年に見えるマッシュ。

しかし、彼の内側には――魔法が当たり前に存在する世界で、魔法を一切使えないという絶望的なハンデを抱えながら、それでも生き抜くために鍛え上げた圧倒的な筋肉と、理不尽を許さないまっすぐな正義心が秘められています。

周囲が魔法で戦う中、マッシュは筋肉(フィジカル)で全てを粉砕

強大な魔法使いや傲慢な貴族たちを、圧倒的な腕力でねじ伏せる姿は、まさにスカーレットと同じ物理で語るタイプ。

しかもその拳には、ただの暴力ではなく、「大切な人を守るための優しさ」も宿っているのです。

無口でどこかズレているのに、誰よりもブレずに信念を貫く――。
その姿はまさしく「スカーレットが男性だったらこうなっていたかもしれない」と思わせるほど。

「強いのにどこか愛しい」「正義感で拳を振るうキャラが好き」――そんなあなたには、マッシュ・バーンデッドというキャラがきっと刺さります。

『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』が好きな人にオススメの作品

『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』が好きな方には、以下の作品もオススメです。

①乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…

『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』で、理不尽な運命を拳でねじ伏せるスカーレットの痛快な逆転劇に胸を撃ち抜かれたあなたにこそ読んでほしいのが、『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』です。

乙女ゲームの世界に悪役令嬢カタリナとして転生してしまった少女が、待ち受ける「破滅エンド」を避けるため奮闘する物語。

持ち前の明るさと天然さで、周囲のキャラクターたちを次々と虜にしていく姿が魅力となっています。

婚約破棄から始まる絶体絶命の状況を、恐れずに笑顔で突き進むカタリナの姿は、スカーレットが拳で運命を切り開いた姿と重なります。
「どんなに不利な状況でも、自分らしさを失わない」――そのテーマが共通しているのです。

そして、カタリナが辿り着くのは「破滅」ではなく、「みんなに愛される」という予想外のハッピーエンド。

勘違いから始まるコメディと、努力で未来を変えるカタルシスは、『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』を愛する読者の心にも、きっと強く響くはずです。

②悪役令嬢たちは揺るがない

『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』で、理不尽な状況を拳でねじ伏せるスカーレットの強さと矜持に惚れた人にこそ読んでほしいのが、『悪役令嬢たちは揺るがない』です。

この作品は、王立学園を舞台に悪役令嬢と呼ばれる三人の令嬢たち――セラフィーナ、サンドラ、ベルナルデッタ――が、自らの誇りを胸に立ち上がる物語。

物語の中心にいるのは、田舎出身の聖女見習い・アイニ。

無邪気な彼女の存在が、学園に波紋を広げ、貴族社会の価値観を揺るがしていく中で、三人の令嬢はそれぞれの信念と品格をもって対峙します。

スカーレットが己の信念を貫き、拳で運命を切り開いたように、『悪役令嬢たちは揺るがない』の令嬢たちもまた、感情や恋愛に流されることなく、誇りを武器に戦います。

彼女たちの矜持は、敵を罵倒するためのものではなく、自分を貶める者に一切揺るがない「格の違い」を見せつけるためのもの。

その静かな強さが、読む者の胸に深く突き刺さります。

そして、その先にあるのは――「本当の強さとは何か?」という問いへの答えです。
恋や感情に支配されず、自分の信じる正義と立場を貫くこと。

それこそが悪役令嬢という立場を超えて、人としての美しさを描き出しています。

華やかな学園を舞台に、誇り高き令嬢たちが織りなす気高くも痛快な戦い。

スカーレットの豪快な強さに心を震わせたあなたなら、セラフィーナたちの揺るがぬ意思にも必ず魅了されるはずです。

『悪役令嬢たちは揺るがない』について、詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

まとめ|スカーレットの拳は、読者の心まで晴らしてくれる

『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』は、
“悪役令嬢”というテンプレを逆手に取り、拳で全てを解決するという唯一無二の爽快劇を描いた作品です。

理不尽な世界に屈しないスカーレットの姿は、現代を生きる私たちの胸にも響きます。
笑えて、スカッとして、そしてちょっぴり胸が熱くなる――
そんな“読む元気剤”のような一冊。

「今日も理不尽なことがあったな」「スカッとしたい!」
そんな時こそ、この作品を開いてください。
きっと、スカーレットの拳があなたの心のモヤモヤを吹き飛ばしてくれるはずです。

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