『アイドラトリィ』3rdステージ徹底考察|循菜vsアビと真の課題の正体

週刊少年マガジンで連載中の話題作『アイドラトリィ』。

“推しのためなら何でもする”女子高生・陽見循菜の狂気的な行動力と、徐々に明らかになる彼女のアイドル適性が、読者の心を鷲掴みにしています。

この記事では、物語が大きな転機を迎える3rdステージの内容整理と、そこから予測される今後の展開・脱落者予想を行っていきます。

特に、循菜を狙い撃ちにする松田アビの策略、そして浮かび上がる“真の課題”の正体について、これまでの伏線をもとに深堀りしていきます。

また、本作をまだ読んでいない方や、全体の魅力を振り返りたい方は、『アイドラトリィ』のレビュー記事もあわせてご覧ください!

また、第2巻については12月17日発売します。

3rdステージについて

『アイドラトリィ』の物語は、第3ステージに突入し、より緻密で苛烈なサバイバルへと進化を遂げました。

ここで描かれるのは、ただのパフォーマンスバトルではありません。人間性・戦略性・適応力を問われる、より本質的な選抜戦です。

まず、今回のステージではルールが大きく刷新されています。
2ndステージで上位にランクインした18名がチームリーダーとなり、1人ずつ参加者を指名して5人チームを結成。

そのうえで、与えられた10日間の準備期間を通じて、チームでパフォーマンスを創り上げていくという内容です。

そして極めつけは、チーム内から1人が必ず脱落するというルール。

他チームとの比較ではなく、味方の中から“最も貢献度が低いが排除されるという、まさに“内ゲバ型”のシステムとなっています。

引用元;アイドラトリィ16話より

さらに注目すべきは、これまでのように観客の投票や単純な目立ちポイントだけで評価されるのではなく、10日間の準備期間を通じての成長・姿勢・貢献度が、トレーナーによって採点される方式へと移行している点です。

つまりこのステージでは

  • 自分の武器を最大限に活かす
  • チームにどう貢献するかを示す
  • 新しい挑戦や進化を見せられるか
  • 他者との関わり方、リーダーシップ、協調性を発揮できるか

といった、“パフォーマンス外のプロセス”までもが審査対象になるという、これまで以上に多層的な審査基準が導入されているのです。

本当の意味で「人間力」が問われるこのステージ。

単なるスキル勝負では勝ち残れない、心理戦と成長競争が入り乱れる新たなフェーズが始まったと言えるでしょう。

松田アビの策略と循菜への明確な敵意

第3ステージが始まり、チーム内での脱落者が決まるという新たなルールが課された今、表に見える「実力勝負」の裏では、理念と価値観のぶつかり合いが確実に存在しています。

そして、その象徴ともいえる対立軸に立つのが、6位通過のリーダー・松田アビです。

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引用元;アイドラトリィ15話より

アビは、高い実力を持つ実力派。

華やかなスター性というよりも、ひたすら努力と成果を積み重ねてここまで勝ち上がってきた、まさに“努力主義×実力主義”の体現者です。

彼女が信じるのは、「実力がある者が評価されるべき」「努力こそ正義」という明快な価値観。

その思考はストイックで、時に他者に対しても厳しさを向けるほどです。

だからこそ、彼女にとって陽見循菜という存在は、我慢ならない存在でした。

循菜は、これまでのステージで目立った実力を見せたわけでもなければ、際立った才能があるわけでもない。

それなのに、ルールの隙を突く形で“運”と“偶然”によって勝ち上がってきた。

その姿は、アビにとって「正当に努力している者たちを侮辱するような存在」にすら映っていたのかもしれません。

――だから、彼女は仕組んだ。

ただ自分が勝ち残るためではなく、運で勝ち上がった循菜をここで正当に潰すことを目的として、チーム編成を行ったのです。

その構成がこちら

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引用元;アイドラトリィ16話より
  • 松田アビ(6位/リーダー)
     →努力と実力を重ね、競争を勝ち抜いてきたリアリスト。
  • 五十鈴寧
     →歌唱力に優れ、伸びやかな声で聴かせるボーカルの逸材。
  • 深瀬メロウ
     →ビジュアルでの人気とオーラを持つ存在。
  • 穂積かさね
     →身体能力とダンス力に優れたフィジカル型パフォーマー。
  • 陽見循菜
     →芸能経験ゼロ。だが推しへの執着と観察力でサバイバルしてきた異端の参加者。

この布陣を見れば、アビの意図は明白です。

3人のスペシャリストで周囲を固め、その中に唯一「スキルでは語れない存在」=循菜を組み込むことで、あえて際立たせて孤立させる

その構成は、“チームの勝利”を目指すものというよりは、循菜を意図的に晒し者にするための仕組みとすら言えるものでした。

そして、それは言葉ではなく、実際の行動にも表れます。

19話では、アビが提案したパート分けが描かれました。
そこには、循菜にほとんど活躍の余地を与えない配置がされており、さらに他メンバーの持ち味すらも十分に引き出せない構成に。

つまり彼女は、チーム全体の完成度を犠牲にしてでも、循菜を潰すことを優先したのです。

それは、もはや戦略というより信念でした。

アビは「実力こそがすべて」という強い信条を持っており、それを崩すような存在に対して、はっきりと否を突きつけたのです。

だが、そんな“潰されるために組まれたチーム”の中で、陽見循菜は簡単には折れません。

彼女は、ただのオタクではない。

ふわりを推すためなら、プロデューサーの家に押しかけ、自分をオーディションにねじ込み、ADすら買収するという、異常な行動力と覚悟の持ち主

狂っている。けれど、真っすぐで、誰よりも行動している。

確かに彼女には、アビのような努力の実績も、寧やかさねのような武器もありません。

しかし――誰よりも“必死”で、“観察していて”、“動ける”人間です。

そして今、循菜はその力を使い、
「自分を追い出すために構成されたチーム」の中で、逆に主導権を奪おうとしている

実力至上主義のアビと、“執念”で這い上がる循菜。
これはただのチーム内対立ではなく、価値観そのもののぶつかり合いです。

どちらが“推される資格”を持つのか。
3rdステージは、いよいよその答えを試す舞台となります。

3rdステージの展開予想

松田アビの策略によって、明らかに不利な立場に置かれた陽見循菜。

しかし、彼女はただ圧力に屈するのではなく、静かに、そして着実に反撃の準備を進めていました。

その鍵となるのが、18話でプロデューサー・絢子の口から語られた「真の課題」の存在です。

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引用元;アイドラトリィ18話より

「昔の循菜が持っていて、今は失ってしまったものが試されている」。

この印象的な言葉は、3rdステージが単なるパフォーマンス評価の場ではなく、もっと内面的な、人間としての魅力や成長が問われるステージであることを示唆しています。

では、その「失われたもの」とは何なのか。

それはおそらく、一生懸命さ、そしてその姿を通じて人の心を動かす力ではないかと考えられます。

第1話で、循菜が絢子の自宅に押しかけたときのことを思い出してみてください。

当初、彼女は通報されかけるほどの“厄介オタク”でした。

しかし、ふわりへの思いを込めて必死に歌うその姿に、絢子は心を動かされ、通報をやめるという決断を下します。

あのとき循菜は、技術や外見ではなく、ただ真っ直ぐな想いと一生懸命な姿で人の心を動かしていたのです。

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引用元;アイドラトリィ1話より

それ以来、循菜は推しを勝たせるために裏で暗躍するようになり、情報戦や心理戦では確かに非凡な才能を発揮してきました。

しかし、“アイドルとして応援したくなる姿”――真正面から努力するその瞬間を、彼女はあまり見せてきませんでした。

だからこそ、3rdステージで試されているのは、「誰が一番うまいか」ではなく、「誰が一番、応援されるか」なのだと思われます。

そして、その変化の兆しは19話で明確に描かれました。

アビが提示したパート構成は、循菜にとって不利なもの。しかし循菜はそれに正面から反論し、自ら新しい案を提案します。

その内容は、単なる自己主張ではなく、チーム全体の強みを活かしながら、各メンバーが新たな挑戦をできるような“建設的な提案”でした。

結果として、アビ以外の3人がその案に賛同するという展開に至ります。

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引用元;アイドラトリィ19話より

これは、循菜がすでにメンバーたちと信頼関係を築きつつある証拠でもあり、裏方から脱し、チームの中心に立ち始めたことを示しているのではないでしょうか。

循菜は今、かつてのような“一生懸命に歌う姿”を再び見せようとしています。

そしてそれは、まさに絢子が求めているもの、つまり「誰かに応援される資質」そのものです。

一方、松田アビはどうでしょうか。

彼女は実力者であり、努力家であり、真面目な参加者です。

しかしその一方で、自分の中の正義や美学に固執しすぎるあまり、他人の変化や成長を受け入れようとしない閉鎖的な姿勢も見え隠れしています。

このステージが「応援したくなるかどうか」が問われる場だとすれば、最も変化を拒み、孤立し、周囲と調和できなかったアビが脱落するという結末は、十分に考えられます。

むしろ、ここまでの展開を見る限り、松田アビこそが3rdステージで脱落する人物になると予想するのが自然でしょう。

アビが仕掛けた“循菜を潰すためのステージ”は、皮肉にも、循菜の成長と変化を引き出し、逆にアビ自身を脱落へと導いてしまうかもしれません。

陽見循菜が再び“応援される存在”へと変わろうとしている今、この3rdステージは、彼女にとって最大の転機となるはずです。

まとめ

3rdステージは、これまで以上に過酷で複雑な舞台です。

ただスキルを披露するだけでなく、仲間との関係性、挑戦への姿勢、そして“誰かの心を動かす力”が問われる――まさに、アイドルという存在の本質に迫る審査が始まっています。

その中で、陽見循菜はこれまでの「推しを勝たせるために裏で動く存在」から、「自分自身が前に立ち、応援される存在」へと、確かな一歩を踏み出しました。

一方、松田アビは自らの正しさを信じ、循菜を排除しようと動いたものの、その信念に固執するあまり、変化を受け入れられず、仲間の中で孤立していきます。

そして今、皮肉にもアビが仕掛けた舞台で、脱落の可能性が最も高まっているのは、彼女自身であると考えられます。

努力の“正しさ”と、愛の“異常さ”。

理想と現実、推す者と推される者――。

複雑に絡み合った感情と価値観の中で、陽見循菜は、再び「一生懸命な姿」を取り戻しつつあります。

それは、かつて絢子の心を動かし、彼女をオーディションへと導いた、あの原点の光です。

この3rdステージは、循菜にとっての転機であると同時に、『アイドラトリィ』という物語が“何を描こうとしているのか”を、読者に問い直す章でもあります。

果たして、推しを追いかけていた少女は、今度こそ自分自身が“推される存在”になれるのか。

その答えは、もうすぐ明かされるはずです。

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