サッカー漫画といえば、華やかなストライカーや華麗なパスワークが注目されがちですが、ピッチの最奥で勝利の要として戦うセンターバックに焦点を当てた作品は多くありません。
そんな中で、数あるサッカー漫画の中でも異彩を放つのが『Mr.CB(ミスターシービー)』です。
本作は、守備の中心=センターバックの価値を真正面から描き、「守ること」そのものがどれほどドラマチックで奥深いのかを教えてくれる稀有な作品。
元日本代表DF・吉永と、無名の高校生・千明が出会うところから始まる師弟の成長物語は、サッカー経験者はもちろん、努力の物語が好きな読者にも強く刺さります。
派手さはなくても、泥臭い地味なポジションからチームを勝たせる――。
そんな守備の美学が存分に味わえる一冊として、多くの読者から支持を集めています。
この記事では、『Mr.CB』の魅力や読みどころをご紹介していきます。
漫画の評価基準について
漫画の評価については、下記のランクごとに分けています。

あくまで、私自身の読書体験をもとにした評価ですので、購入や読書の参考程度にしていただければ幸いです。
Mr.CBとは?
『 Mr.CB』は、原作・ 綱本将也先生、作画・ 谷嶋イサオ先生による日本のサッカー漫画作品。
『 ヤングチャンピオン』(秋田書店)にて2018年より連載が開始され、最新刊は 16巻(2025年5月20日発売)で、シリーズは継続中です。
『U-31』『GIANT KILING』など、リアリティあるサッカー描写で知られる綱本将也先生が、センターバック(CB)=守備の要 に焦点を当てた意欲作です。
物語の舞台は、Jリーグ昇格を目指す国内3部リーグの小さなクラブ「東京ワンダーズ」。
そこに、元日本代表で伝説的なDF・吉永(通称カイザー・ヨシ)が新たな挑戦として所属しています。そんな彼が出会うのは、無名の高校生・千明。
プロになることを諦めていた千明の中に、吉永はDFとしての資質を見抜き、彼を育てはじめることを決意します。
最初は試合にすら出られず、ベンチ外・FW起用・意味不明な指導など、常識破りの育成法に千明は戸惑います。
しかし、そのすべてが 「真の守備者」へと覚醒させるための伏線 であり、吉永の信念と経験がひとつずつ千明の成長を後押ししていきます。
『Mr.CB』の最大の魅力は、センターバックという地味に見られがちなポジションを、チームを勝たせる頭脳として描いている点にあります。
派手なゴールではなく、体を張って守る覚悟。
チームを信じ、仲間を支え、勝利をつかみ取る――。
その姿は、どのスポーツ漫画にもない「守備の美学」に満ちています。
また、吉永と千明の師弟関係を軸に、監督・GM・選手・サポーターといったクラブに関わる人々の人間模様が丁寧に描かれており、単なるスポーツ漫画を超えた人生と成長のドラマとして読者を惹きつけます。
「華やかさより、地道な努力に心が燃える物語が好き」
「守ることにこそ、勝利の哲学があると思う」
そんなあなたにこそ、『Mr.CB』はぴったりの一冊です。
『Mr.CB』総合評価
『Mr.CB(ミスターシービー)』は、総合評価 Bランク とさせていただきます。
“守備の要”センターバックという、これまであまり主役に据えられなかったポジションを題材にした点が非常にユニークで、サッカー漫画として新しい切り口を提示しています。
元日本代表DF・吉永と、無名の高校生・千明による師弟ドラマを通して、「守ることの意味」や「チームを勝たせる力」を深く掘り下げており、サッカーファンなら誰もが唸るリアリティがあります。
また、指導者・選手・クラブ運営陣といった多角的な視点でチームを描いており、勝利とは何かという問いを、泥臭くも熱く追いかけるストーリー構成は見応え十分です。
登場人物それぞれの信念や葛藤もリアルで、読後には「努力することの尊さ」を改めて感じさせてくれます。
一方で、テンポや展開の面ではややスロースタートで、試合よりも育成や会話に重きを置いた構成のため、爽快感を求める読者にはやや地味に映る部分もあるでしょう。
また、専門的な戦術描写や心理的駆け引きが多く、万人向けというよりはサッカーを深く知りたい人向けの作品といえます。
とはいえ、サッカーの本質=チームの信頼と守備の誇りをここまで丁寧に描いた作品は稀有であり、定価で買っても十分満足できる良作であることは間違いありません。
派手さよりも、現場のリアルと選手の成長ドラマに惹かれる方に、ぜひ読んでほしい一冊です。
良かった点
① センターバック(CB)に焦点を当てた異端の主役構成
『Mr.CB』を一言で表すなら、「サッカー漫画のセオリーを根底からひっくり返した作品」です。
これまでのサッカー漫画といえば、FWやMF――つまり点を取る華やかなポジションにスポットが当たることが多い。
しかし本作は、ディフェンスの要・センターバック(CB)に焦点を絞るという大胆な挑戦をしています。
主役の千明は無名の高校生。
しかも自分には才能がないと諦めている少年。そんな彼を見出すのが、元日本代表で伝説のDF「カイザー・ヨシ」こと吉永。
物語は、この大ベテランと才能を信じきれない少年の師弟ドラマから始まります。
引用元:Mr.CB 1巻より Screenshot
最初から天才ではなく、ベンチ外やFW起用など、回り道をしながら少しずつ力をつけていくリアルな成長過程。
この「一歩ずつ積み上げていく描写」が、まさにCBの堅実さそのものなんです。
さらに、吉永の指導法も一筋縄ではいきません。
野球をやらせたり、試合に出さなかったり――一見不可解な行動が、後々「すべて育成の伏線だった」とわかる構成は鳥肌モノ。
経験でしか得られない本当の強さを見せつけてくれます。
サッカーの花形ではないポジションに魂を宿らせたこの作品は、読めば必ず「DFってこんなにカッコいいのか」と価値観が変わります。
②下位リーグからの這い上がりストーリーが熱い
舞台は国内3部リーグの小クラブ・ワンダーズ。
J1の華やかさとは無縁の、資金難・スポンサー離れ・観客数の低下――まさに現実の下部リーグを思わせる環境です。
そんなチームで吉永と千明は、「昇格」という一つの夢を掲げて戦います。
特別な才能や環境に恵まれていない者たちが、泥臭く勝ちにこだわる姿は胸を熱くします。
特に印象的なのは、チームがバラバラな状態から少しずつまとまり、誰もが昇格という目標に本気で向かっていく中盤以降の展開。
勝利を重ねても慢心せず、失点すれば責任を共有する。
華やかさよりも、チームの信頼を築くことの尊さが描かれており、読後には心地よい余韻が残ります。
努力や成長という言葉では片付けられないリアリティ。
これこそが、『Mr.CB』をサッカー漫画の中でも一線を画す存在にしています。
③キャラクター同士の信頼と対立が生む人間ドラマ
『Mr.CB』の最大の魅力は、試合よりも人間関係のぶつかり合いにあります。
吉永と千明の師弟関係はもちろん、新任監督と吉永の過去の因縁、クラブの思惑が読めないGMの存在など、どの登場人物にも裏の顔と譲れない信念があり、ドラマとしての深みが段違い。
特に吉永の言葉には、経験者ならではの重みがあります。
単なるスポーツ漫画ではなく、サッカーという舞台を通じて「人を育てること」「信頼すること」を描いた成長譚。
読後には「自分も何かを極めたい」と前向きな気持ちにさせてくれます。
気になった点
『Mr.CB』はサッカー漫画として完成度が非常に高い一方で、気になる点もいくつかあります。
まず挙げたいのが、序盤のテンポです。
千明がチームに加入してから試合に出るまでの展開がややスローペースで、「早く活躍が見たい!」という読者には少しもどかしさを感じるかもしれません。
また、吉永の指導法があまりにも突飛で、最初は「この人、本当に育成する気あるの?」と戸惑うほど。
ですが、それが後に“全て意味のある伏線”として繋がっていくため、最初の違和感を我慢して読み進めると、一気に面白さが倍増します。
さらに、登場人物の人間関係が複雑なため、序盤はやや把握しづらい部分もあります。
ただしこれは「チームという共同体のリアル」を描くための演出でもあり、中盤以降はその複雑さが物語の深みへと変わっていきます。
要するに、『Mr.CB』は派手な演出で盛り上げるタイプの漫画ではなく、地味で泥臭い積み上げの面白さを丁寧に描くタイプ。
じっくり読めば読むほど味が出る――そんなスルメのような作品です。
『Mr.CB』が好きな人にオススメの作品
『Mr.CB』が好きな方には、以下の作品もオススメです。
①GIANT KILLING
『Mr.CB』で“守備という名の戦場”に魂を燃やした人にこそ読んでほしいのが、『GIANT KILLING』です。
弱小クラブ・ETUを舞台に、かつての天才ストライカー・達海猛が監督として挑む「勝てないチームの再生物語」。
主役は選手ではなく、チーム全体をどう導くかという指導者の戦いにあります。
かつてプレイヤーとして挫折した達海が、今度は指揮官として、チームをどう勝たせるかを模索していく――。
『Mr.CB』で吉永が無名の若者を育て、もう一度自分のサッカーを信じ直すように、『GIANT KILLING』でも、達海はかつての理想と敗北に真正面から向き合いながら、戦略と情熱の両輪でチームを変えていきます。
試合に勝つだけでは終わらない。
チームが変わる、人が変わる、サッカーそのものが変わっていく。
そんなリアルなサッカーの醍醐味を味わいたい人には、『GIANT KILLING』が最高の一冊になるはずです。
②DAYS
『Mr.CB』で才能ではなく努力で戦う者たちのドラマに心を掴まれた人にこそ読んでほしいのが、『DAYS』です。
運動音痴で何の取り柄もなかった少年・柄本つくしが、サッカーの強豪校・聖蹟高校で仲間と出会い、少しずつ成長していく物語。
彼は決して天才ではありません。走るのも遅く、技術も未熟。
それでも誰よりも諦めないという情熱だけで、チームの中で信頼を得ていきます。
『Mr.CB』の千明が、吉永に見出されながらも地道に力を積み重ねていったように、『DAYS』のつくしもまた、才能よりも「心の強さ」で仲間に影響を与えていきます。
そして、その姿は周囲の選手たちの心を動かし、「誰もが主役になれる」というスポーツの原点を思い出させてくれるのです。
挫折を恐れず、仲間とともに成長していく青春サッカー譚。
泥臭くても、一歩ずつ前に進むことの尊さを描く点で、『Mr.CB』と共通しています。
才能に恵まれなくても、情熱があれば人生は変えられる。
その信じる力の物語は、きっとあなたの胸にも真っ直ぐに響くはずです。
③アオアシ
『Mr.CB』でサッカーの本質を掴む成長物語に魅了された人にこそ読んでほしいのが、『アオアシ』です。
フィールド全体を見渡す視野 を持つ少年・葦人(アシト)が、プロを目指す育成組織(ユース)で自分の才能を磨き直していく物語。
才能に気づきながらも、その使い方をまだ知らない主人公が、厳しい環境の中でひとつずつ階段を上がっていく姿は、『Mr.CB』の千明の成長曲線とも重なります。
特に、『アオアシ』が描くのは「サッカーは点を取るだけがすべてじゃない」というテーマ。
味方の位置、相手の動き、スペースの生まれ方――
戦術理解が選手を変えるという着眼点は、守備の頭脳を磨いていく『Mr.CB』と強く響き合います。
そしてアシトが挑むユースの環境は、技術も経験も自分より上の実力者ばかり。
その中で、落ちこぼれ同然の立ち位置からスタートしたアシトは、「どうすれば追いつけるのか」「何が自分に足りないのか」を必死に考え続け、毎日の練習から課題を拾い、改善し、成長へとつなげていきます。
この泥臭い積み重ねは、まさに千明が本物のCBへと覚醒していくプロセスとリンクします。
ただ勝つだけではない。
「自分のサッカーは何なのか?」
その問いと真っ向から向き合い、答えを探し続けるアシトの姿は、静かでありながら熱い闘志に満ちています。
戦術、成長、チームの哲学――。
サッカーの奥深さをもっと知りたいと思ったあなたには、『アオアシ』が最高の次の一冊になるはずです。
まとめ|守備のロマンを知るための一冊
『Mr.CB』は、センターバックというポジションに光を当てた、数少ない本格派のサッカー漫画です。
吉永と千明の師弟関係を軸に、クラブの人間模様や、選手としての成長が丁寧に描かれ、サッカーの華やかさではなく、本質に迫る物語となっています。
- 派手なゴールではなく、体を張って守る誇り
- 1試合ごとに積み重なっていくリアルな成長
- チーム運営・監督・選手の視点が絡み合う奥深いドラマ
- 熱くて泥臭いセンターバックの美学
こうした魅力が丁寧に描かれているからこそ、本作はサッカーファンの心を掴んで離しません。
「地道な努力が真価を発揮する物語が読みたい」
「派手なプレーより、戦術や守備の駆け引きに惹かれる」
そんなあなたには、間違いなく刺さる作品です。
気になった方は、ぜひ最新巻までチェックしてみてください。
ワンダーズと千明の昇格への道を、あなたも見届けたくなるはずです。



